東京電力は新潟県の柏崎刈羽原発6号機が再稼働すると「年間約1000億円の収支影響がある」と説明している。東電の公表資料と市場価格に基づき試算すると、約1000億円は6号機の再稼働に伴い、東電が市場から購入する火力発電などの燃料費が減る分の金額のようだ。燃料費の減少分に原発の修繕費や安全対策費などを加味すると、収支は改善どころかマイナスになるのではないか。そんな筆者の試算は正しいか、東電に聞いてみた。
柏崎刈羽原発6号機(出力135.6万キロワット)が再稼働し、1年間フルに稼働した場合の発電量は約119億キロワット時となる。
実際の運転に合わせ、設備利用率(稼働率)を80%、所内率(発電所内で使用する電力量の割合)を4%とすると、年間119億キロワット時×(0.8-0.04)=90.44となり、年間約90億キロワット時の電力を発電することになる。
設備利用率80%は原発が順調に稼働した場合の数値だ。所内率4%は東電の原発事故前に全国で稼働した最新の原発4基の平均値となっている。一般に原発の所内率は3~7%程度という。
東電は原発が再稼働すると、卸電力取引市場からの電力調達(他社からの電力購入)が減ると説明している。このため年間約90億キロワット時の電力を東電管内の卸売電力市場(日本卸電力取引所)で購入したとする。2024年度の市場価格の平均は1キロワット時当たり13.66円なので、購入費は13.66円×90億キロワット時=1229.4億円となる。
一方、柏崎刈羽原発6号機の再稼働に伴い、新たに発生する核燃料費など「電力量料金」の単価は、東電の公表資料によると、1キロワット時当たり2.51円だ。このため2.51円×90億キロワット時=225.9億円となる。
従って、燃料費は1229-225=1004億円、負担が軽くなることになる。再稼働に伴い、核燃料代(225億円)はかかるが、卸電力市場を通じて他社から購入する火力発電などの購入費(1229億円)が減るためだ。
この1004億円は「1基の再稼働で年間約1000億円の収支影響がある」という東電の説明と一致する。
筆者のこの試算は正しいか、考え方として成り立つか東電に聞いてみた。東電は「(試算の)内容を否定することはない」と答えた。そのうえで「当社が一定の前提のもと試算した結果として、足元の市場価格ベースでは、再稼働に伴う収支影響は年間約1000億円になる」と繰り返した。筆者の試算は間違いではなさそうだ。東電の見解を聞き、ひとまず安心した。
収支改善効果どう計算?
東電は23年4月に「原子力再稼働影響」と題した試算を公表している。市場からの…
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