コカ・コーラ、アップル、日本の5大商社──。「史上最強の投資家」など数々の異名を持つバフェット氏の象徴的な投資を振り返り、その一貫した哲学に迫る。
米投資会社バークシャー・ハサウェイが今年5月3日、本社があるネブラスカ州オマハ市で開いた株主総会は、資本市場にとって一つの区切りをつけるものとなった。バークシャーを60年以上にもわたって率いてきたウォーレン・バフェットCEO(最高経営責任者)が今年末で退き、グレッグ・アベル副会長にその職を譲ると表明したのだ。
バークシャーは保険や貨物鉄道、電力・ガスといったエネルギー事業、建築資材や住宅建設、家具や宝石の小売りなど、多種多様な事業会社を傘下とし、時価総額は1.1兆ドル(約170兆円)と米国でも十指に入る規模を誇る。カード会社のアメリカン・エキスプレスやコカ・コーラやアップルなどの株式に多額の資金を長期投資し、莫大(ばくだい)な収益を上げてきた。
バークシャーの投資判断で最前線に立ち続けてきたバフェット氏だが、いまや95歳。この日の株主総会も毎年のように元気な姿を見せていたが、淡々と過ぎた株主総会の最後に特別に5分取っておいた時間を使い、こう話し始めた。「私が退く時はきた。私は、会長職にはとどまるが、CEOのポジションは、副会長のグレッグ・アベルに譲る。しかし、会社が好きなので、毎日オフィスには来る」
会場は静まり返り、来場者はバフェット氏の言葉を一言も逃さないかのように聞き入っていた。その後で突然起こったのは、万雷の拍手である。4万人を超える株主が来ていたが、一人残らずスタンディングオベーションをした。その投資や人生哲学で多くの人を魅了し続けたバフェット氏の歴史的な引退表明の場に居合わせ、筆者にとっても忘れられない光景となった。
コカ・コーラが象徴
11歳から株式投資に親しみ、父…
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