<KRIS MAHER/2025年12月12日>
【ソルトレークシティー(米ユタ州)】オーガスタス・ドリッコ氏(25)は、米西部ユタ州のユインタ山脈の乾燥した山麓に立ち、目を細めて空を見上げた。彼は少数の気象学者とドローン(無人機)操縦士からなるチームを指揮している。
若き経営者のドリッコ氏は、米国史上最大級の「クラウドシーディング(人工降雨)」プロジェクトを監督していた。2機のドローンが任務を終え、牧場に無事着陸するのを見守った。彼はそれ以前の世代と同じように雨を降らせようとしていた。
「全てはこれに尽きる」。2時間の睡眠とコーヒー、ニコチンパッチ(禁煙補助薬)を頼りに働くドリッコ氏はこう語った。「(西半球最大の塩水湖である)グレートソルトレークの水をもっと増やさなければ、とんでもない問題が起きる」
米西部の水利地区は1950年代以降、農家や牧場主、スキーリゾートのためにクラウドシーディングをほぼ議論の余地なく利用してきた。この技術は通常、航空機や地上の発生装置から、雲に向けてヨウ化銀を散布し、氷の結晶を形成して雪や雨を人工的に降らせるものだ。
著名投資家ピーター・ティール氏から初期支援を受けた米スタートアップ企業レインメーカーは、ドローンと人工知能(AI)による気象モデリングを活用し、この技術をより精度の高いものに進化させた。ドリッコ氏の目標は、大幅に範囲を広げたデータ収集と、地上から操縦するドローンの一群を駆使し、人工降雨をより効率的かつ測定可能で、信頼できるものにすることだ。
だが非常に厄介な問題が立ちはだかっている。それは政府が気象を操作していると主張する陰謀論だ。
ドリッコ氏は何度も殺害予告を受けている。彼が陰謀に加担しているか、または意図せず政府の手先になっていると信じる人々に街角で責め立てられることもある。ユタ州のクラウドシーディング事業の責任者も脅迫の標的…
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