A子さん(37)はデザイン会社で企画営業の仕事をしています。取引先で新任の担当者となったB輔さん(30)と意思疎通がうまくいかず、トラブルが発生して困っています。
A子さんは10年近くこの取引先を担当しています。その間、先方の担当者は何度か代わりましたが、ほとんどトラブルはありませんでした。担当者が代わっても前任者からの引き継ぎがうまくいっていたからです。
ところが、数カ月前にB輔さんが担当者になってから、製品の仕様や納期などをめぐり、トラブルが起きるようになりました。
そこでA子さんは、どこで行き違いが生じたのかを特定するために、B輔さんとのメールのやりとりをさかのぼって確認しました。A子さんはB輔さんとのメールには、B輔さんの上司であるC夫さん(40)を「CC」(同報メール)に入れています。
C夫さんは前任の担当者です。担当者がB輔さんに変わっても、C夫さんが確認してくれているという安心感がA子さんにはありました。ところがB輔さんからのメールの中に、C夫さんがCCから外れているものが含まれていることに気づきました。
A子さんは常に「全員に返信」で返していましたが、B輔さんとのやりとりの一部はC夫さんには共有されていなかったことになります。
また、B輔さんとの面談や電話での確認事項について、B輔さんがC夫さんに報告しているとA子さんは捉えていました。しかし、A子さんの意向はC夫さんに共有されず、C夫さんの意向もこちらに伝わっていなかったのではないかと考えるようになりました。
ミスを指摘されても
もちろんB輔さんが社内で情報を共有していないという確証はありません。A子さんが先方の意向を正確に受け止めていなかった可能性もあります。取引先とのやりとりは担当者のB輔さんを通じて行うしかなく、B輔さんに「これはB輔さん個人ではなく、御社の指示と理解してよいでしょうか」などと確認することもできません。
そんな思いでA子さんが悩んでいたところ…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







