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渡部恒雄氏「米トランプ政権は中露より国土防衛重視」

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 米トランプ政権の2026年の外交戦略について、専門家の渡部恒雄・笹川平和財団上席フェローに聞いた。(聞き手=和田肇/稲留正英・週刊エコノミスト編集部)

── 米国のトランプ大統領と中国の習近平主席は、最近、良好な関係に見える。

■基本的にトランプ大統領は習近平主席にシンパシーみたいなものを感じている。習氏のような独裁的な政治指導者になりたいと思っているからだろう。また、2026年は中間選挙があるので、中国との関係を悪化させて経済に影響が出るのを避けたいと考えている。米国の有権者は物価高に非常に不満を持っている。中間選挙が終わるまで中国と貿易戦争をしている場合ではないと、トランプ大統領は考えているはずだ。中国はレアアースという非常に強い切り札を持っているため、合理的に考えれば、中間選挙に向けて経済を悪化させないためには、中国との関係を悪化させるオプションはないだろう。

── 26年の米中関係は大きな波風が立たないと。

■そうともいえない。トランプ大統領はその時の気分や、ディールを成功させようとして立場を煩雑に変えるため、予想は不可能だ。参考になるのは、ウクライナ和平に関するトランプ大統領の動きだ。ロシア寄りだと思ったら、今度はウクライナ・EU(欧州連合)寄りになったり、またロシア寄りになったりと、首尾一貫していない。トランプ大統領は独裁者のプーチン大統領に憧れを持っており、彼との関係も悪化させたくないのが基調のはずだが、ディールのために煩雑に立場を変えている。

 しかも、トランプ大統領はプーチン大統領ほど習主席に好意を持っているかはわからないし、ロシアと違って、中国の対米貿易黒字に不満を持っていることも、踏まえておく必要がある。基本的には中間選挙をにらんで中国と事を荒立てないように推移していくと思うが、首尾一貫して合理的に動くとは限らないので、不確実性は依然ある。プーチン大統領、習主席と関係を緊密化させて、米、露、中で世界を仕切っていく「ヤルタ会談2.0」のような形をトランプ大統領が望むことは、日欧にとっては悪夢になる。

── 米国は日本を飛び越して中国と結ぶのか。

■トランプ大統領は首脳同士の個人的関係が良くなれば、国家の関係も良くなると考えている。個人の相性でいえば、高市早苗首相も気に入られているはずだ。日本にとっては、トランプ大統領を中国寄りにしないためには、高市首相がトラ…

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