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円安インフレの本質的解決策は「賃上げと生産性向上」

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 高市早苗首相の「サナエノミクス」は、低金利と積極財政を志向しており、その下では円安が進みやすい。ではこの円安は日本経済にとって是か非か。

 円安の影響や評価は立場によって異なるが、単純化すれば「企業にはプラス、家計にはマイナス」である。図1は、企業(全規模・全産業)の売上高経常利益率と家計の実質賃金の推移だ。2012年以降のアベノミクス期、そして21年以降の今回の円安局面では、企業と家計の格差が拡大し、K字型(二極化)の様相を強めている。

 企業にとって円安は、輸出競争力を高め、海外収益の円換算額を増やし、値上げを後押しする。これが利益率を押し上げ、株価にもプラスに働く。一方、円安による輸入物価の上昇は、自給率の低い食料やエネルギーの物価を押し上げ、実質賃金を減少させるため、家計にはマイナスだ。

 図2は、実質消費が実質賃金の動向に強く依存していることを示している。円安とそれに伴うインフレが実質賃金を抑圧し、消費の自由を奪っている。家計の不満は募り、その矛先は政府や日銀へ向かう。

 政府は光熱費の補助やガソリン暫定税率の撤廃などで対応するが、これらは対症療法に過ぎない。日銀は利上げを進めるが、コストプッシュ型インフレは金融政策では解消しにくい。

家計への分配強化を

 本質的な解決策は、円安・インフレを止めることではなく、これに適応することであり、円安で潤う企業から苦しむ家計への分配(賃上げ)を強化することである。インフレを上回る持続的な賃上げを実現し、実質賃金を増やすことが本筋だ。

 しかし、政府が企業に賃上げを要請し…

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