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小泉悠氏「ロシア軍のウクライナ戦争継続は1年が限度」

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 ウクライナ戦争は2026年に停戦の兆しが見えるのか。ロシアの安全保障と軍事政策に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授に聞いた。(聞き手=和田肇・週刊エコノミスト編集部)

── ロシア国防省は2025年12月2日、ドネツク州にあるウクライナ軍の重要補給拠点の都市ポクロウシクを制圧したと発表した。ルハンスク州でもクピャンスクなど重要都市が制圧されそうな状況だ。プーチン大統領が目標にしているドネツク、ルハンスク2州の完全占領が実現しそうなのか。

■そうは見ていない。ポクロウシクが占領されても、ドネツク州にはクラマトルスクなど重要拠点がいくつか残っている。この戦争は一つ一つの都市を争っても、それが戦争の勝敗につながらない。総体として勝敗をつけないといけないが、個々の都市の争奪戦がばらばらに行われている状況だ。

── ウクライナ軍はロシア軍にかなり押されているのか。

■そうだと考えている。ドネツクとルハンスク州に加えて、ザポリージャ州でもウクライナ軍は突き上げられている。三正面でロシア軍に押されている状況だ。例年だと11月ごろは地面が泥濘(でいねい)化して、大規模な作戦ができないが、25年は11月になってもロシア軍の圧力が弱まっていない。

── そもそもウクライナ軍はロシア軍に比べてかなり兵力が少ない。それで1200キロメートルの前線を支えている。ロシア軍は大量の戦車、装甲車の機動部隊を集中して前線を突破して、都市を包囲すれば容易に占領できそうに見える。

■私はロシア軍の練度がかなり低くなっているので、そうした高度な作戦が実行できなくなっていると見ている。ロシアには今、毎年35万〜40万人くらいの志願兵が入隊しているとされるが、同じぐらいの数の兵士が戦死・戦傷している。きちんとした訓練を受けた兵士、指揮官がかなり不足していると見ている。

 ロシアの新兵訓練施設の規模では、年間25万人前後しか訓練できない。ところが今のロシアは、通常の徴兵制度での新兵訓練(年間25万人程度)をやりつつ、プラス35万〜40万人の志願兵を確保している。つまり、毎年70万〜75万人の兵士が入隊している。明らかに訓練リソースが足りない。訓練不足の大量の兵士を前線に送り出している状況だろう。

 ウクライナは14年以降、ドネツク、ルハンスク州の多くの都市を要塞(ようさい)化してきた。それもロシア軍がなかな…

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