新春恒例の自動車の祭典「東京オートサロン」はトヨタ自動車の「GR GT」など話題のスポーツカーが数多く登場した。SUBARU(スバル)は水平対向6気筒エンジンをレーシングカーに搭載すると発表した。それなら「レガシィ」など市販車にも「ボクサー6」(同エンジンの愛称)が復活する可能性はないのか。スバルのエンジニアに聞いてみた。
今年のオートサロンは2026年1月9~11日、千葉市の幕張メッセで開かれた。オートサロンは世界最大級のカスタムカー(特別仕様車)のイベントで、今年は例年にも増してスポーツカーがクルマ好きの関心を集めた。
その筆頭はトヨタがオートサロンで初めて一般公開したGR GTだ。トヨタの次世代のフラッグシップスポーツカーとして、「トヨタ2000GT」と「レクサスLFA」を継承するモデルという。排気量4リッターのV型8気筒ツインターボエンジンをフロントミッドシップに搭載。電動モーター1基と組み合わせたハイブリッドカーだ。「27年ごろの発売を目指す」という。トヨタブースでは多くのファンがGR GTにカメラを向けていた。
日産自動車は特別仕様車「オーラNISMO RSコンセプト」を初公開。日産は経営再建計画で「お客さまの感情に響く『ハートビートモデル』の導入」を表明している。このクルマはその商品コンセプトを生かした特別仕様車の第1弾として、将来的に市販を目指すという。
ホンダはレース運営子会社のホンダ・レーシング(HRC)のノウハウを生かした「シビック タイプR」と「プレリュード」の特別仕様車(HRCコンセプト)を参考出品した。
サプライズの水平対向6気筒
スバルは「スーパーGT」と呼ぶ国内で人気のモータースポーツ(自動車レース)のうち、市販車をベースに大幅改造した「GT300」クラスの参戦車両「スバルBRZ GT300」を出品。26年シーズンから「3リッターの水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載する」と発表した。
これはスバルファンはもちろん、クルマ好きとってはサプライズだった。スバルはこれまで1989年に発売した初代レガシィに搭載した「EJ20型」という2リッターの水平対向4気筒エンジンを改良し、GT300のレースに使用してきた。
EJ20型は名機とされるが、既に市販車は次世代の「FA24型」などに世代交代しており、GT300レースの次期参戦マシンもFA24型の2.4リッター水平対向4気筒エンジンを使うとみられていた。
ところがスバルは3リッターの水平対向6気筒を搭載すると発表した。スバルが91年に発売した「アルシオーネSVX」に搭載した「EG33型」をベースにレース用にチューニングするという。
市販車でボクサー6はポルシェだけ
水平対向エンジンは低重心で、ピストンが互いに水平に向き合い、慣性力を打ち消すため振動が少なく、回転バランスがよい。とりわけ水平対向6気筒は「完全バランス」で、シルキースムーズ(絹のように滑らか)な高性能エンジンとされる。
ボクシングでボクサー同士のパンチが水平に向き合い、互いに打ち合う姿がピストンの動きに似ていることから「ボクサーエンジン」や「フラットエンジン」などと呼ばれる。
3リッターを超える大排気量の水平対向6気筒はかつてスバルも生産し、アルシオーネやレガシィなどに搭載していた。自動車評論家の徳大寺有恒氏も自らアルシオーネSVXを所有するなど、スバルのボクサー6を高く評価していた。しかし、世界的にエンジンをダウンサイジングする流れを受け、日本はもちろん、北米でも数年前に販売を終了した。
かつて水平対向エンジンは独フォルクスワーゲン、伊フェラーリ…
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