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アマゾン、AI競争に低コスト戦略で挑む

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
=Getty
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<Sean McLain and Sebastian Herrera/2026年3月6日>

 誰もが欲しがる物を安く売る。米アマゾン・ドット・コムにとって、これは長年にわたる成功の方程式だ。

 アマゾンの新たな人工知能(AI)責任者ピーター・デサンティス氏は、同社がこの方程式をAI競争でも活用できると考えている。同社は消費者・企業向けの最先端モデルや人気アプリケーションの開発で競合他社に大きく後れを取っており、巻き返しが必要だ。

 同氏は「AIにはコストの問題がある」とし、「もし最終的にAIに全てを変革させたいなら、コスト構造も変わらなければならない」と述べた。

 アマゾンにはそれを実現する専門知識とインフラがあるという。デサンティス氏の下、同社は自社製チップを使用して、競合他社よりも安価にAIモデルを開発する計画だ。汎用(はんよう)性には欠けるものの、特定業務に特化したカスタマイズ性で補う企業向けAI製品への旺盛な需要に賭けている。また、チャットボットを支える大規模言語モデル技術が「アレクサ」ブランドのスマートホーム製品を飛躍的に進化させることも期待している。

 アマゾンは2月27日、米オープンAIへの500億ドル(約7兆8800億円)の出資も発表した。

 し烈で莫大(ばくだい)な費用がかかるAI覇権争いにおいて、オープンAI、アンソロピック、グーグルは人間並みのAIに迫りつつある、と一部の観測筋はみている。アマゾンは2023年にAI部門を創設した際、汎用AI(AGI)の概念に敬意を表して「アマゾンAGI」と名付け、同様の野心を示した。独立系ベンチマーク企業によれば、アマゾンの主力モデル「ノバ」は性能面で他社製品に劣っている。

 アマゾンは昨年12月、チーフAIサイエンティストのロヒト・プラサド氏の退社と、その職務がデサンティス氏に引き継がれることを発表した。デサンティス氏は広く尊敬さ…

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