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プライベートクレジット危機、迫っているのか

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
ブラックロックのオフィス(ニューヨーク市)=Natalie Keyssar for WSJ
ブラックロックのオフィス(ニューヨーク市)=Natalie Keyssar for WSJ

<Greg Ip/2026年2026年3月31日>

 記憶力の良い読者なら、一部のプライベートクレジットファンドが解約を制限したというニュースを聞いて2007年の夏を思い出すだろう。当時、欧州のある銀行がサブプライム住宅ローン関連の証券を大量保有するファンドの解約を制限・凍結した。これが世界金融危機の幕開けとなった。

 サブプライムローンと同じく、プライベートクレジットはわずか数十年でニッチな分野から主要な資産クラスへと成長した。そしてサブプライムローンと同様、プライベートクレジットは不透明で、ほとんど規制されておらず、銀行を含む金融システムの他の部分と結びついている。

 では、プライベートクレジットの問題は、20年前に見られたようなシステム全体を揺るがすショックの前兆なのか。危機は本質的に予測不可能だが、恐らくそうではないだろう。2007年~09年の危機は史上最悪クラスの危機であり、そのこと自体が、同規模の悪い事態が再発することを防いでいる。

 とはいえ、この危機は金融システムの中でどのような脆弱(ぜいじゃく)性に注意すべきかを教えてくれた。プライベートクレジットは、何が問題になり得るかを精査するのに十分な脆弱性を示している。特に原油価格の高騰や金利の上昇といったより広範なショックが起きている中で、何が問題になりやすいかをだ。

 プライベートクレジットとは通常、ノンバンクの貸し手が非上場企業に対して行う融資を指す。サブプライムローンと同様、それは確立された金融の影で成長した。 アポロ・グローバル・マネジメント や KKR などのプライベートエクイティ(PE)投資会社が、レバレッジド・バイアウト(LBO)に資金を提供する融資を手配し始めた。その後、寄付金で運用される基金や年金基金などがこの融資に投資した。

 サブプライムローンとプライベートクレジットの共通点の一つは不透明性だ。債券と異…

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