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プロイセン軍人の言葉に学ぶ 米トランプ氏の誤算と日本の選択

太田智之・みずほ総合研究所 チーフエコノミスト
米ホワイトハウスの大統領執務室で会談する高市早苗首相(左)とトランプ米大統領=2026年3月19日、ホワイトハウス公開
米ホワイトハウスの大統領執務室で会談する高市早苗首相(左)とトランプ米大統領=2026年3月19日、ホワイトハウス公開

 米トランプ政権によるイラン攻撃は、中東情勢を一気に不安定化させた。当初は限定的な軍事行動とみられていたが、報復の連鎖は収まらず、エネルギー供給や物流に深刻な影響が広がっている。その余波は世界経済を揺るがし、とりわけ中東依存度の高いアジア新興国に重くのしかかる。大国の判断がもたらした「誤算」は、いま世界全体に波及している。

泥沼化する戦局 広がる「誤算」の連鎖

「いかなる戦争計画も、敵と接触した瞬間に崩れる」

 プロイセン(現ドイツ)の軍人モルトケのこの言葉は、戦争における最大のリスクが「誤算」にあることを示している。

 この教訓の重みをいま最も痛感しているのは、トランプ大統領ではないだろうか。

 イランの軍事能力と地域への影響力を過小評価したトランプ政権の判断は、中東情勢を一気に緊迫化させた。

 当初は限定的な軍事行動で抑止を働かせる構想だったはずだ。しかし現実には、報復の連鎖が続き、エネルギー関連施設や港湾、…

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みずほ総合研究所 チーフエコノミスト

 1969年京都生まれ。95年京都大学大学院農学研究科修了。富士総合研究所、日本経済研究センター、財務省財務総合政策研究所などを経て、2012年7月、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長。経済調査部長、アジア調査部長などを経て、21年4月から現職。主にマクロ経済、経済政策の分析を担当。著書に『中国発世界連鎖不況』(共著、日本経済新聞出版社刊)など。ニューヨーク駐在中は7年にわたってワールドビジネスサテライト「ワールドマーケット」に出演した。