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通勤手当になぜ社会保険料?「制度と実態」ズレの正体

渡辺精一・経済プレミア編集部
=Getty Images
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 会社から支給される「通勤手当」は、税と社会保険で扱いが異なる。所得税はかからない一方、社会保険は保険料の算定ベースに含まれる。運賃の上昇で通勤手当が増え、保険料負担が重くなるなか、この違いが改めて目立つ。なぜ扱いが分かれるのか。

通勤手当の「二つの誤解」

 通勤手当は、通勤費用を補助するため、会社が支給する。身近な制度だが、二つの誤解がある。

 一つは、法律上、通勤費用は労働者が負担するのが原則で、会社に通勤手当の支給義務はないことだ。「職場に行く費用は会社負担」と考えがちだが、そうではない。

 民法は「契約の約束を果たすためにかかる費用は、役割を担う側が負担する」という基本ルール(債務者負担の原則)を定めている。

 労働者は会社と雇用契約を結び、労働を提供している。通勤費はそのための費用だから、労働者が負担することになる。

 通勤手当の支給や上限は会社が任意で決める。就業規則などに通勤手当を定めれば、それが「会社と従業員との約束」となり、会社に支給の義務が生じる。

 厚生労働省「就労条件総合調査」によると約9割の会社に通勤手当がある。大企業は定期券代の支給が一般的だ。

 普及の背景には歴史的経緯がある。戦後、大都市は住宅難で遠距離通勤が増え、従業員の通勤費用の負担が重くなったため、支援策として導入が進んだ。高度成長期には人手不足を背景に、福利厚生として定着した。

 もう一つは、通勤手当は「労働の対価」として受ける報酬、つまり「給与」と位置づけられることだ。労働者が負担する費用を会社が肩代わりする「経済的利益」にあたるためだ。

 通勤手当を「交通費」と呼ぶこともあるため、企業会計で営業外回り…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。