A子さん(38)は食品スーパーでパート勤務をしています。通常は1日5時間、週5日の勤務です。このスーパーは毎年12月の給料で昇給します。昨年は例年より昇給額が大きく、A子さんは時間給が1200円から1320円になりました。ところが4月の給料の手取り額が減っているので驚きました。何が起きたのか理解できませんでした。
昇給した12月は繁忙期のため、A子さんは通常よりも長く140時間程度勤務しました。1月は少し落ち着きましたが、120時間程度勤務しました。さらに、年末年始(12月25日~1月5日)は繁忙期手当として時間給が100円アップとなるため、給料額が多くなりました。
2月、3月は、通常の月100~110時間勤務に戻りました。年末に時間給がアップしたので通常勤務に戻っても手取り額が増えたと思っていたら、4月の給料で手取り額が減っているようでした。3月の給料明細と比べると、4月から社会保険料が増えていることに気づきました。
A子さんは昇給分が社会保険料で相殺されてしまったように感じました。しかも、昇給から何カ月もたっており、なぜこのタイミングなのかも疑問に感じています。社会保険料決定の仕組みがわからず、ちょっと困惑しています。
社会保険料の計算は?
2026年4月現在、従業員数(社会保険加入者数)が51人以上の会社では、週20時間以上の勤務であれば、社会保険(厚生年金保険、健康保険)の加入義務が生じます。A子さんは通常でも週25時間の勤務ですので、社会保険に加入する義務があります。
社会保険料を決定するタイミングは、(1)社会保険加入時=資格取得時決定(2)加入後の年度ごとの見直し=定時決定(3)給料が大きく変動した時の見直し=随時改定――の三つのパターンがあります。
社会保険加入時は契約時の給料額(通勤手当、通常生じ得る残業代を含む)を都道府県ごとの「保険料額表」が示す「等級(標準報酬月額)」に当てはめて決定します。
加入後は毎年4~6月に支払われた給料の平均額を、等級(標準報酬月額)に当てはめて、当年9月分(10月給料控除分)から翌年8月分(9月給料控除分)の保険料…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







