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「奇跡の電池」がEVの不満をついに解消か?

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
=Getty
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<DAN NEIL/2026年4月15日>

 この30年間、私は電気自動車(EV)の普及を大いに支持してきた。EV技術が完璧だからではなく、化石燃料車と比べて明らかなメリットがあったからだ。その一つが、経済安全保障上のメリットである。すなわち、石油依存を続ければ、米国の消費者はガソリン価格の急騰に対して無防備なまま、ということだ。例えば、ホルムズ海峡が紛争地域になった時にはそうした事態が生じることは当然予想される。

 考えてみると、ガソリン価格に関して、私には一種の「バンカー・メンタリティー(過剰に自己防衛的な思考)」があるのかもしれない。私は現在、EVを2台所有し、太陽光パネルと家庭用バッテリーパックを使って自宅で充電している。なにせ、私にとって中東危機は今回が初めてではない。

 しかし、「それみたことか」とは全く思っていない。EVは技術として完成しておらず、価格は高すぎで、不便なことも多いという反対派の主張はあながち間違いではなかった。私の経験では、全てその通りだった。航続距離に対する不安は現実のものだった。さっと補給してすぐに車を出せるガソリンに慣れているドライバーにとって、公共の充電器の前で30分もぶらぶらしているなんて、正気の沙汰とは思えなかった。

 常にこうした不満の根底にあるのが電池だ。奇妙な形のボトルに入ったエネルギー貯蔵薬が並ぶ錬金術師のクローゼットのごとく、これまでにさまざまな電池が次々に登場した。どの電池も、大衆市場に受け入れられるレベルからは程遠かった。しかしだからといって人々が挑戦をあきらめることはない。

 そこで紹介したいのが ドーナツ・ラボ だ。同社はフィンランドのスタートアップで、EV用に初の量産可能な全固体電池を開発したと主張している。同社――1月にラスベガスで開催された世界最大級の先端技術見本市「CES」で大きな話題になった――によると、この電池は…

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