日本の中東依存が残した教訓(1)
日本は原油輸入の9割以上を中東に頼っている。原油輸送の要衝ホルムズ海峡の航行が米国とイランの対立で事実上ストップする中、原油の中東依存は日本経済のボトルネックとなりかねない。かつて日本はロシア・サハリン州はじめ原油輸入の多角化を試みたが、当初の想定ほどうまくいかなかった。それはなぜなのかを振り返り、資源小国の日本が何をすべきかを考える。
政府は「現下の中東情勢において、原油についてはホルムズ海峡を通らないルートでの調達に最大限注力している。現時点において、5月には前年実績比で過半の代替調達が可能となる見込みだ。代替調達の結果、備蓄放出量を抑えながらも、年を越えて石油の供給を確保できるめどがついている」(資源エネルギー庁燃料供給基盤整備課)と説明している。
もちろん、これは原油の国家備蓄の放出が前提となっている。政府は5月上旬以降、「第2弾の国家備蓄放出」として、約20日分の原油を市場に流す。3月16日から始めた第1弾の放出に続き、総計の放出量は約70日分となる。昨年末時点の官民備蓄254日分の約3割にあたる。
しかし、米国・イスラエルとイランの戦闘でホルムズ海峡の事実上の封鎖がこのまま続けば、いずれ備蓄も底をつきかねない。
経団連の筒井義信会長は「現時点で石油備蓄に余裕はあるが、余裕があるうちに、長期化を想定した、需給両面での総合的な検討を急ぐべきだ」と発言している。有事の際は原油の備蓄に頼らざるをえない日本にとって、原油の中東依存は長年にわたり解決すべき課題だった。
日本から最も近く安定した大油田
日本は1973年と78~79年の2度の石油危機の経験から、原油輸入先の多角化を進めてきた。石油危機当時約8割だった中東依存度は、中国やインドネシアから原油の輸入を増やしたことで、87年度には過去最低の67.9%に低下。ところが中国や東南アジア諸国の石油需要が増え、自国消費に回ったことから、日本の中東依存度は再び上昇。2024年度は過去最高の95.9%に達した。
もちろん、中国やインドネシアの他にも、日本は輸入の多角化を試みた。90年代から日本の官民が「脱中東の切り札」として注力したのがロシア・サハリン州の二つの石油・ガス開発プロジェクト「サハリン1」と「サハリン2」だった。ロシアがサハリンの資源の開発権を外国企業に与え、生産した石油と天然ガスを各社が分け合う約束だった。
中東から日本まで原油を運ぶのにタンカーでホルムズ海峡を通り、約22日かかるのに対して、サハリンなら2~3日で到着する。しかも、中東の油田並みに「横綱級」の生産が可能とされた。サハリンは日本から最も近く、安定した原油と天然ガスの供給地になるはずだった。政府は「地理的に近接しており、チョークポイント(狭い海峡)を通過せずに輸入が可能」とメリットを強調していた。
当時、「宝の島」ともてはやされたサハリンは…
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