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給付付き税額控除 森信茂樹氏が語る「導入への三つの課題」

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給付付き税額控除などを議論する社会保障国民会議に出席した高市早苗首相(右から2人目)=首相官邸で2月26日
給付付き税額控除などを議論する社会保障国民会議に出席した高市早苗首相(右から2人目)=首相官邸で2月26日

 高市早苗首相が「改革の本丸」と位置づける給付付き税額控除の議論が本格化してきた。「分厚い中間層」の再構築を狙うが課題も多い。

 高市早苗政権の下、超党派の「社会保障国民会議」で給付付き税額控除の検討が本格化している。ただ、その内容は意外と知られていない。制度の概要と導入の課題を解説する。

 給付付き税額控除は、中低所得者や世帯を対象に、減税と給付を組み合わせて所得の再分配を行う制度(図1)で、1975年に米国で初めて導入された。原型は米経済学者のフリードマン氏(76年にノーベル経済学賞受賞)が提言した「負の所得税」(低所得者から税金を取るのではなく、お金を支給する仕組み)で、税制と社会保障制度を一体的に設計して社会保障制度の効率化を図る趣旨だ。

 その後は貧困対策にとどまらず、就労に伴う税・社会保険料負担で収入が抑制され、貧困からの脱却が困難となる「ポバティートラップ(貧困の罠(わな))」の対応策として位置づけられ、勤労インセンティブの確保を重視する仕組みに進化した。

「分厚い中間層」構築へ

 このように中低所得者の就労を促す政策として欧州や韓国などで導入されている。しかし、その内容は国により異なる。筆者は以下の四つに分類している。

 一つは勤労者の所得を底上げし、自助努力による生活向上を後押しする…

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