今年は春が早い。というか、もう初夏ではないか、と感じるような気候だ。
東京ではゴールデンウイークのころが見ごろの藤がすでに満開を過ぎている。ツツジの開花も例年よりかなり早い。
桜(ソメイヨシノ)の開花も早かった。東京は平年より5日早く、名古屋は7日、新潟や仙台は8日、長野や山形、秋田、盛岡は11日、札幌は13日も早かった。
「お花見」はもちろん、「藤祭り」や「つつじ祭り」を計画する人々は予定の前倒しに頭を悩まされているに違いない。
桜の「早い開花」は、2月下旬から3月の気温が高かった「暖春」の影響だと考えられる。だが、温暖化による異変はこれだけではない。
暖冬の影響で桜の「開花遅れ」や花芽が育たない「開花異常」が九州南部で起きているというのだ。
この現象はやがて各地に広がり、日本の春の風景を変えてしまう恐れさえある。
いったい、なにが起きているのだろうか。
東京の開花100年で2週間早まる
桜に限らず温帯地域の多くの植物は、落葉時に冬芽を作り休眠する。春に花を咲かせるためには冬に一定の低温刺激を受けている必要がある。「休眠打破」と呼ばれる現象で、温暖化で冬の気温が十分下がらないと、春の開花遅れや花の形成異常につながる可能性が指摘されていた。
実際、東京のソメイヨシノの開花日は温暖化の影響で過去100年間で約2週間も早くなっているのに、鹿児島では開花の遅れが生じている。鹿児島や八丈島、種子島では「満開にならない」開花異常も報告されていた。
森林総合研究所九州支所長の勝木俊雄さんやボストン大学のリチャード・プリマックさんらの国際共同チームは、こうした異変の背景を詳しく分析し、4月、専門誌「International Journal of Biometeorology(国際生物気象学ジャーナル)」に論文を発表した。
日本は平安時代から桜の開花の時期が宮廷などの記録に残されている稀有(けう)な国だ。1953年以降は気象庁がソメイヨシノの観察を公式に続けている。
「温暖化が進めば開花異常の可能性」
勝木さんらが分析対象としたのは気象庁が65年から2024年にかけて収集した鹿児島地方気象台(鹿児島市)と、それより北に位置する熊本地方気象台(熊本市)のソメイヨシノの開花記録(満開日)だ。さらに21年から24年にかけて鹿児島や熊本、岡山で新たな調査地点を設け、より詳細な観測データを加えて分析した。
ちなみに、鹿児島はソメイヨシノの…
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