「自傷」は随分前から、若者の間でありふれた現象となっている。自殺以外の意図で自らの身体を傷つける行為を指し、よく知られているのはリストカットだ。私の調査では、10代の1割に自傷経験があり、そのうちの約6割は10回以上繰り返しているとの結果が出ている。
自傷ほど誤解されている行為もない。いわく「甘えている」「弱い」「人の気をひこうとしている」。だが違うのだ。自傷の主な目的は、怒りや不安、絶望感といったつらい感情を和らげることにある。そして、自傷する人の96%は一人きりの時に実行し、それを誰にも告げない。つまり自傷とは、周囲の関心をひくのとは正反対、むしろ困難な状況を独力で生き延びるための行動なのだ。
こうも言える。自傷する人は「人は必ず裏切る。でもリストカットは絶対に裏切らない」と信じ込んでいる。「人に頼らない」という点では強いかもしれないが、その強さにはしなやかさが欠けている、と。
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連載:こころと向き合う
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