今年2月、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任しました。そのとき、「柔軟性のない高齢者」が組織のトップに長くとどまることを「老害」と非難されました。しかし、「老害」は高齢者を差別する言葉なので使わない方がよいでしょう。
それでも高齢になってくると体力や判断力が落ち、トップにいると組織の運営に支障をきたすことも多くなります。今までは高齢者の豊かな人間関係などが組織運営に役立っていました。しかし、新型コロナウイルスが広がるような非常時には、このような人間関係もあまり役に立ちません。今までは顧問や相談役として会社に残っていた高齢者も、最近は非効率だとしてポストがどんどん削減されつつあります。今まで人間関係を中心にうまく立ち回ってきた高齢者にとっては、相手方に同年代がいなくなると、人間関係の強みを発揮できません。
そして、もっと重要なことは、高齢者が組織のトップに君臨すると周囲の人間が忖度(そんたく)をして、少々間違ったことやおかしなことでも指摘をしなくなるということです。周囲がイエスマンばっかりになると、当然「自分は間違っていないのだ」というような発想になりがちです。柔軟性を失って新しいものを取り込む力もなくなり、今回のような騒動が起きたのでしょう。
「老害」と言われないために
「老害」と呼ばれたくなかったら、高齢者はどう振る舞うべきでしょうか?…
この記事は有料記事です。
残り1810文字(全文2408文字)
大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。





