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不登校は「心の最終SOS」病気が隠れている場合も

白井沙良子・小児科医
 
 

 「子どもが朝、起きられない」「学校に行きたがらない」――。夏休み明けに、親御さんから多く寄せられる相談です。大人でも、生活リズムや気候の変化で、疲れが出る時期ですよね。お子さんにこのような様子がみられた時、特にどのような症状に注意すべきでしょうか。登校しぶりや不登校への対応で知っておいてほしいポイントや、親子ともに悩んだ時の相談窓口を紹介します。

まずは「起立性調節障害」のチェックを

 起きられない。頭やおなかが痛い。そんな症状で学校を休んだものの、昼すぎくらいからケロッと元気になる――。

 サボっているだけじゃない?と思われるケースも多い「登校しぶり」ですが、実は「起立性調節障害」が隠れていることも少なくありません。起立性調節障害の特徴を以下の四つにまとめました。

(1)「サボり病」ではなく「自律神経の不具合」が原因です

 起立性調節障害を一言で言うと、「自律神経がうまく働いていない」状態になる疾患です。ただし病気というよりは、心身ともに成長する過程で、やむを得ず生じる状態、というニュアンスで捉えるとよいと思います。

 自律神経は全身の機能をつかさどるため、さまざまな症状が出ます。以下の11症状のうち三つ以上あてはまると、起立性調節障害の可能性が高いと言われています。

 ただし、これらの症状が出たからといって、必ずしも起立性調節障害と診断されるわけではありません。実際には、必要に応じて心電図や血圧の検査、血液検査などを経て、総合的に判断されます。

(2) めずらしい病気ではありません

 起立性調節障害のお子さんは、小学生で5%、中学生では10%いるとも言われています。多ければ10人に1人のお子さんが該当するということですね。特に10~16歳に多く、不登校のお子さんに限ると、30~40%に起立性調節障害が見られます。

 また新型コロナウイルス感染症の影響で、外出や運動が制限されたり、日常生活のリズムが変化したりすると、起立性調節障害の症状が悪化することもあります。まだ流行が収まらない中、起立性調節障害のお子さんは、さらに増えている可能性もありそうです。新型コロナの影響に限らず、休み明けの新学期や新年度、行事などのイベント前後でも症状が変動します。

(3) 生活習慣も大事です

 起立性調節障害は「自律神経の不具合」と書きましたが、水分不足や運動不足がそれに拍車をかける場合があります。これらを踏まえて、日本小児心身医学会は、日常生活で工夫できるポイントを紹介しています。

 水分や塩分が不足すると血圧が低下し、症状が悪化するため、積極的に摂取することが大切です。また、自律神経の不具合がある中、長時間立ち続けていると、脳などの上半身に血流が行き渡りづらくなり、立ちくらみなどの症状が悪化してしまうのです。

(4)起立性調節障害が疑われる場合、まずは受診を

 もちろんこれらの工夫で改善する場合もありますが、生活…

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小児科医

小児科専門医。IPHI妊婦と子どもの睡眠コンサルタント(IPHI=International Parenting & Health Insutitute、育児に関するさまざまな資格を認定する米国の民間機関)。慶応大医学部卒。東京都内のクリニックで感染症やアレルギーの外来診療をはじめ、乳幼児健診や予防接種を担当。2児の母としての経験を生かし、育児相談にも携わる。