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訪問看護を上手に使い、在宅療養を快適に

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
患者の自宅を訪れ、体の状態を確認する訪問看護師(右)=東京都世田谷区で2017年6月(本文とは関係ありません)
患者の自宅を訪れ、体の状態を確認する訪問看護師(右)=東京都世田谷区で2017年6月(本文とは関係ありません)

 介護を受ける高齢者にとって、いつ訪れてもおかしくないのが入院です。慢性疾患の悪化だけではなく、転倒骨折、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、がんなど入院のきっかけはさまざま。退院時には「寝たきり」になったり、胃ろうをつけたりと入院前の状態とは異なった状態になることも少なくありません。死亡、転院、施設入居などで家に戻れないことも出てきます。「病院から家にスムーズに戻る」ための3回目は退院後の在宅での「訪問看護」の利用の仕方についてお伝えします。

退院の翌日から訪問看護を利用するには?

 東京都世田谷区に住む美千代さん(仮名)の父の秀樹さん(86)は嘔吐(おうと)と腹痛で救急を受診したところ、大腸がんのステージ4で肝臓にも転移していると診断されました。入院から数日後、会いにいくと、入院前は元気に散歩していた秀樹さんは車いす姿。鼻からは食事の管、点滴に加え、尿管もつけられていました。一気にやつれて見えたので、美千代さんはあぜんとしたそうです。

 1週間の検査入院の結果、転移巣の数と大きさ、年齢などを考慮して、手術ではなく局所への放射線照射と緩和治療を勧められましたが、秀樹さんが放射線治療を嫌がったため、自宅に戻り、緩和治療だけを受けることになりました。

 秀樹さんはそれまで、介護保険サービスも在宅医療も利用したことがありませんでした。入院前から介護保険サービスを利用していれば、ケアマネジャーが病院と連携し、緩和医療を受けるための訪問診療医や訪問看護師を手配できますが、秀樹さんは要介護認定もまだ申請していません。介護の方は介護保険サービスでヘルパーが利用できるようになるまで、家族で何とかするとしても、訪問看護は退院の翌日から必要です。

 そこで、病院のケースワーカーに地域の訪問看護ステーションを紹介してもらい、翌日から訪問看護師の派遣を受けることにしました。

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。