児童相談所(児相)で児童福祉司として働いてきた青山さくらさんによる連載「ジソウのお仕事」。今回登場するのは、児相に保護を求めてきた高校2年生のIちゃん。彼女は、家族に関するある驚きの事実を口にしました――。
「今夜、泊まるとこないですか?」
Iちゃんの消息が分かった。
「あぁ生きてたんだ!」とホッとするような、でも心配になるような……。
私の勤務するジソウに隣接するY県S市から、ある日問い合わせがあった。IちゃんはS市で「特定妊婦」として関わってもらっているらしい。特定妊婦とは、これから出産をむかえるものの、出産してもちゃんと子どもを育てられるかどうか心配で出産前から支援が必要と考えられる妊婦さんのこと。
Iちゃんのおなかには赤ちゃんがいるんだ。
私がはじめて会ったのはIちゃんが17歳のとき。高校2年で中退して、そのことで親とモメて児相に助けを求めてきた。
「今夜、泊まるとこないですか?」
金髪で、しっかりメークで、爪も真っ赤で、制服のスカートを超ミニにして現れたIちゃん。見た目はギャル風だけど、言葉遣いはしっかりしていて敬語。外見としゃべり方にギャップを感じたのが第一印象だった。
「継母から虐待を受けています。父は私を疎ましく思って助けてくれません。家を出たいと思うのですが、頼れる親戚もありません。助けてください」とはっきりした口調で言った。足元を見るとビーチサンダルだった。
その日、一時保護所は満杯だった。いかにも不良そうな風体のIちゃんを見て、保護所の係長から「ちょっとカンベンして、他の子が落ち着かなくなるからさぁ」と言われてしまった。
時間はもう夕方5時を回っていたが、さまざまなところを当たって、なんとか女の子ばかりの自立援助ホームに一時保護委託という形で受け入れてもらえそうだった。女性のホーム長には「そんな子、集団生活やっていけますかね、もし逃げちゃっても、うちで捜したりしませんからね」とクギをさされたが、ともかくホームまで連れて行った。
ホーム長は「よく来たね」と笑顔で迎え入れ、…
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