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「おじいさん」「おばあさん」と呼ばれてショック…… 「主観年齢」の若い人が得るもの、失うもの

西川敦子・フリーライター
 
 

 あなたは自分を年齢より若いと思いますか、それとも老けていると思いますか? 自分が感じる「主観年齢」は、ある時点で実際の年齢と逆転。年をとるほどその差が開いていくことが過去の研究からわかっています。「気が若い」ことは心や身体にどんな影響を与えるのでしょう。東京未来大学モチベーション行動科学部准教授の島内晶さんに聞きました。

高齢になるほど「若いつもり」になる不思議

 今の年齢は自分にふさわしくない、心も身体ももっと若いつもりなのに……などと感じることはないだろうか。

 心理学や社会学では、実際の年齢を「暦年齢」、自分が感じる主観的な年齢を「主観年齢」と呼ぶ。島内さんは「子どものときは自分が暦年齢より年上のように感じる人が多いのですが、20代前半で暦年齢と主観年齢が逆転。主観年齢が暦年齢より若くなります」と説明する。

 大阪大学の佐藤眞一名誉教授を代表とする研究によると、30代の主観年齢は男性では実年齢より2、3歳下、女性では3、4歳下だった。その後の年代では性差はあまりなく、男女ともに40代は4、5歳下、50~60代は6歳下、70代は6、7歳下。上の世代になるほど、主観年齢と実年齢の差が開いていた。

 アメリカではさらに主観年齢が若いようだ。「60歳の男性は自分を45歳、女性は38歳ぐらいと感じている」という驚きの研究結果もある。

 いつまでも若くありたいと願うのは、人としてごく自然な気持ちだろう。気が若ければ、行動もポジティブ、かつアクティブになる。逆に気持ちが老けこめば外出も人づきあいもおっくうになり、自然と心身も衰えてくるのではないだろうか。

 実際、フランスのモンペリエ大学、ヤニック・ステファン教授らの研究でも、主観年齢が高い人は健康リスクが高いうえ、認知症になりやすいことがわかっている。

「年相応」に見られるとがっかりする理由

 アメリカ人の主観年齢が若いのは、「年をとっても健康を維持して経済的に自立し、社会参加すべきだ」という「サクセスフルエイジング」の考え方が根づいているからかもしれない、と島内さんは指摘する。

 背景には、高齢者への歴史的な偏見があることは否めない。現代のアメリカでは就労における年齢差別が法律で禁止されているが1960年代前半ごろまで、能力があっても望む仕事に就けず、医療サービスも満足に受けられない高齢者が多かった。「おかげで、老いに対するネガティブなイメージが根づいてしまったのでは」(島内さん)

 年相応に老けてはいけない、いくつになっても若々しくなければ――。アメリカ流のサクセスフルエイジングの考え方は日本にも広がっているようだ。

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フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクションなどを経て、2001年から執筆活動。雑誌、ウエブ媒体などで、働き方や人事・組織の問題、経営学などをテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」「みんなでひとり暮らし 大人のためのシェアハウス案内」(ダイヤモンド社)など。