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スギ花粉症、なぜ増えた? 症状のつらい人が今後とるべき対策

堀向健太・東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科講師/アレルギー専門医
 
 

 この10年間で最も多いとされるスギ花粉の飛散が続いています。スギ花粉症は日本人の国民病として、アレルギー疾患の中でも非常に多くの人が悩まされています。では、なぜスギ花粉症の人が増えているのでしょうか。自身もスギ花粉症だという「ほむほむ先生」ことアレルギー専門医の堀向健太医師が、スギ花粉症の増加の背景と、花粉症に悩む人たちが今後どうすればよいかについて解説します。

スギ人工林の増加の背景とは

 現在、10~50代の半数近くの方が、5~9歳のお子さんでも10人中3人がスギ花粉症に苦しんでいる時代になっています[1]。

 スギ花粉は本来、体にとって敵ではないたんぱく質です。しかし、スギ花粉症の人は、免疫細胞がスギ花粉を敵と判断しやすくなっており、花粉を体外に排出しようとするメカニズムが働き、目のかゆみや鼻水、くしゃみなどの症状が表れます。

 もともと日本の森林は、現在のように主にスギが生えていたわけではありませんでした。

 戦中・戦後の物資不足の中、過度な伐採によって森林が荒廃し、災害が発生するようになり、天然林から人工林への転換が求められました。

 そこで、1957~72年に、国内で加工しやすく用途が広いスギが植林され、現在では森林の4割が人工林で、そのうちの4割がスギ人工林となっています[2]。

 そして、そのときに植林されたスギが、スギ花粉を作りやすい樹齢に達したのです。一方、北海道では、積極的にスギが植林されなかったので、スギ花粉症が少ないのです。

 スギ花粉症が増えた今、「なぜスギ花粉症があるのに植えたのだ」と疑問に思われる方もいるでしょう。しかし、スギ花粉症の存在が国内で初めて学会に報告されたのは63年で、国際学会雑…

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東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科講師/アレルギー専門医

ほりむかい・けんた 小児科医。医学博士。専門は小児科、アレルギー科。日本小児科学会専門医・指導医。日本アレルギー学会専門医・指導医・代議員。広報委員・啓発活動委員会委員。日本小児アレルギー学会代議員。研究推進委員会委員・広報委員会委員。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初の保湿剤によるアトピー性皮膚炎発症予防に関する介入研究を発表。各種SNSの総フォロワー数12万超。毎日、外来、教育、研究を続けながら、Yahoo!個人オーサー、Voicyパーソナリティ、Newspicsプロピッカー、アメブロオフィシャルブロガーなど、さまざまな媒体で根拠のある医学情報を発信。医学専門雑誌に年間10本以上、一般向け医学記事を20本以上執筆。著書に「マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア」(内外出版)、「ほむほむ先生の小児アレルギー教室」(丸善出版)、「小児のギモンとエビデンス ほむほむ先生と考える 臨床の『なぜ?』『どうして?』」(じほう)など。