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自宅介護の強い味方「小タキ」「カンタキ」

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
 
 

 新型コロナウイルスの第9波がジワジワ迫っているようです。東京都世田谷区の情報共有仲間の医師から「ウチではすでにかなりの感染者が出ています。予約も問い合わせもなく、直接、来院するので、ホント、困っています。感覚的には先週の5倍です」との書き込みがグループのSNSにありました。連休明けの5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行しますが、医療と介護の現場は今から戦々恐々としています。

最初の相談は「いい施設を教えてほしい」

 介護に困った家族からの相談には、友人の友人からのものも少なくありません。世田谷区に住む美穂さん(53歳、仮名)からの最初のメールは1年前。「骨折で入院した同居の母(88歳、要介護1)が自宅に戻ってきたが、入院中に認知症が進み、介護が難しくなってきたので施設入居を考えている。ついては施設について、教えてほしい」という相談でした。

 美穂さんは仕事をしているため、日中はお母さん一人。認知症はあっても入院前は簡単な家事はできたので「私は大丈夫。ヘルパーもいらないし、デイサービスなんて行きたくない」と言い張っていました。しかし、退院後は外にもなかなか出られず、コロナのまん延で不安が募ったためか、一日中、何度も職場に電話が入るようになり、美穂さんの仕事に支障が出るようになりました。

 美穂さんによると、ケアマネジャーは施設入居に対して消極的で、デイサービスを提案したり、緊急時にはショートステイを紹介したりしてくれるが、施設の相談には乗ってくれない、といいます。

 しかし、美穂さんは在宅介護の入り口となる介護保険サービスを「母が拒否するから」という理由でまだ利用していません。そこで、まずはお母さんを説得し、ヘルパーによる訪問介護とデイサービスを試すことを勧めました。サービスが入ることで、本人にどんなサポートが必要なのかが見えてくるからです。

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。