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「うつぶせ」「毛布」「ミルク」が危ない? 乳幼児突然死症候群の正しい恐れ方

白井沙良子・小児科医
 
 

 毎年11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です。12月以後の冬期に発生しやすいことから、厚生労働省などが普及啓発活動を行ってきました。

 SIDSについては、出産後の健診の際などにパンフレットやポスターを見て知ったという方が多いと思います。一方でSIDSを心配しすぎるあまり、「毎日の育児が不安だらけになってしまった」「具体的にどんな対策をしてよいのか分からない」という声も、よくお聞きします。

 そこで、いたずらに不安にならないよう「SIDSを正しく知り、正しく恐れる」をテーマに基本のキから解説します。

窒息とは違う「突然死」

 そもそもSIDSとは、医学的にはどのように定義されているのでしょうか。

 厚労省の診断ガイドラインでは<それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群>となっています。

 つまり、亡くなる前後で明らかな原因が見当たらないのに、亡くなってしまったというケースを指します。これは窒息や、他に明らかな病気があって死亡したケースとは全く異なる概念です。

 このため、市販のベビーモニターでは原則、SIDSを防止できないことが米国小児科学会から発表されています。

 モニターでは脈や呼吸を測定しますが、それらに異常が見られなかったお子さんでも突然死することはあるからです。逆に異常が見られたお子さんでも、SIDSのリスクに必ずしもつながるとはいえない、とする研究報告もあります。むしろモニターをつけているから大丈夫と油断して、後述するようなSIDSの基本的対策を怠ることの方が問題とされています。

 SIDSで亡くなるのは乳児(0歳)が多く、まれに幼児(1歳以上)での報告があります。最も発生しやすい月齢は生後2〜4カ月といわれており、生後6カ月以後は頻度が低下してくるというデータが多いです。

うつぶせ寝は、どうしたらいい?

 SIDSを心配する親御さんから最も多いご相談が「寝ている間に寝返りを打って、うつぶせで寝てしまう。毎回あおむけに戻した方がいいのか? 夜中じゅう見張っているのも限界……」といったものです。早いと生後3カ月前後から寝返りをするお子さんもいるので、切実な問題ですよね。

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小児科医

小児科専門医。IPHI妊婦と子どもの睡眠コンサルタント(IPHI=International Parenting & Health Insutitute、育児に関するさまざまな資格を認定する米国の民間機関)。慶応大医学部卒。東京都内のクリニックで感染症やアレルギーの外来診療をはじめ、乳幼児健診や予防接種を担当。2児の母としての経験を生かし、育児相談にも携わる。