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その音、本当の「ゼイゼイ」? 子どものぜんそくを見極める大切なポイント

白井沙良子・小児科医
 
 

 インフルエンザが猛威を振るい、新型コロナウイルス感染症の流行再燃も危ぶまれる中、寒くなると、お子さんの咳(せき)や「ゼイゼイ」を気にする親御さんが少なくないと思います。ただの風邪でも、お子さんの咳は長引きやすいと以前の記事でお伝えしましたが、今回は「ゼイゼイ」の正体について解説します。

鼻水がたまっただけでもゼイゼイは起きる

「子どもが寝る時にゼイゼイ聞こえたので、風邪が悪くなっていないか、ぜんそくみたいになっていないか、心配です」という相談をよくいただきます。ところが聴診器で胸の音を聴くと、ゼイゼイは聞こえない、ということが少なくありません。

 このように医学的には心配のない状態でも、ゼイゼイという音が聞こえてしまうことはよくあります。代表的なものが鼻性喘鳴(びせいぜんめい)。これは、鼻水が鼻の奥にたまっているためにゼイゼイ聞こえてしまうだけのものです。また、たんが絡んでいるだけでもゼイゼイ聞こえることがあります。ゼイゼイするような音が聞こえたとしても、必ずしも重症だったり、ぜんそくだったりするというわけではありません。

鎖骨の上や、鼻の穴がへこむような呼吸には要注意

 むしろゼイゼイという音よりも気をつけるべき症状があります。それは、鎖骨の上がへこむような呼吸の仕方です。

 医学的には「努力呼吸」と呼ばれています。一般的に呼吸をする時に使う筋肉(肋骨=ろっこつ=や横隔膜など)だけでは十分に呼吸ができないので、首の近くの筋肉なども使って頑張っている状態です。他にも咳のせいで、全く寝つくことができない(横になって眠れない)というのも、努力呼吸のサインです。図を参考にしていただけると幸いです。

 このような症状が見られた時は、夜間の救急外来も含めて受診を検討してください。聴診で呼吸の状態を確認したり、吸入薬で気道を広げたりといった対応を行います。

 努力呼吸が見られる時は聴診器で聴くと、まさにギューッと気道が締め付けられるような音――喘鳴が聞こえます。息を吐く時に、気道が狭くなっているために聞こえる音、これが本当のゼイゼイです。

 なお正確には、前述したように「息を吐く時に聞こえる喘鳴」は呼気性喘鳴(こきせいぜんめい)といって、喘鳴の一部を指します。他に吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい)など息を吸う時に聞こえるものもありますが、ここでは、感染症などに伴う、より一般的な喘鳴である呼気性喘鳴について解説します。

原因の多くはRSウイルスなどによる感染症

 では、どうして喘鳴が起こるのでしょうか。

 肺炎や細気管支炎(枝分かれした気管支の最も…

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小児科医

小児科専門医。IPHI妊婦と子どもの睡眠コンサルタント(IPHI=International Parenting & Health Insutitute、育児に関するさまざまな資格を認定する米国の民間機関)。慶応大医学部卒。東京都内のクリニックで感染症やアレルギーの外来診療をはじめ、乳幼児健診や予防接種を担当。2児の母としての経験を生かし、育児相談にも携わる。