発達障害が増えています。文部科学省の調査(2021年度)では、発達障害などを理由に、通常学級のほか別室で指導を受けている小中高生が全国で18万人を超え、過去最多を更新しました。
それだけ障害が認知されるようになったといえますが、「わが子が発達障害かもしれない」と考えると、混乱したり不安になったりするものですよね。親として疑いを持った時、どう受け止め、どうしたらよいのかを医学的に解説します。
一つの症状や行動だけで疑うことはできない
「うちの子は、他の子よりも私と目が合わない気がするし、ミニカーを1列に並べたがるし……。自閉症かどうか心配でたまりません」
「かんしゃくがひどくて、保育園の先生からも困っていると言われてしまいました。うちの子は発達障害なんでしょうか?」
乳幼児の保護者から、よくこんなご相談をいただきます。
他にも、夜泣きがひどい、偏食が目立つ、言葉が出ない、つま先歩きや、さかさバイバイをする(相手に手のひらを向けずに、自分に手のひらが向いた状態でバイバイをする様子)、集団生活・行動ができない、友達とトラブルを起こす――などなど。
もちろん発達障害の一つのサインとして上記のような行動が見られることはありますが、お子さんなりの発達に伴う、一時的な状態にすぎないことも非常に多いです。何より発達障害の診断は、これから説明する通り、一つの症状や行動だけをもって判断したり、チェックリストに該当すれば診断がついたりするというものではありません。
注意欠陥多動性障害、自閉症、学習障害が代表的
とはいえ、お子さんに気になる症状があるとネットで検索したくなりますよね。注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、学習障害(LD)という代表的な三つの障害はお聞きになったことがあるかもしれません。
統計上も、通級指導を受けている小中高生に多く見られます。通級指導とは、発達障害などを理由に、通常の学級に在籍して学びながら、一部の授業などは別室で受けるというスタイルで、特別支援学級や特別支援学校などとは異なるものです。
グラフの通り、通級指導を受けている小中高生は2021年度、全国で18万人を超え、過去最多を更新しました。そのうちADHD、自閉症、LDが、それぞれ3万人を突破し、言語障害を除くと上位を占めています。
今回は、それぞれの発達障害に関する細かい説明は割愛し、概要をお伝えします。
まずADHDは、集中力がないなどの「不注意」、じっとしていられない「多動性」、とっさに行動してしまう「衝動性」が特徴的です。
一方で自閉症には、主に「社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ」「限定された行動、興味、反復行動」という特徴があります。
またLDは、知的発達に遅れはない(いわゆる知能指数のIQは正常範囲である)ものの、聞く・話す・読む・書く・計算するなどの能力に困難が生じるものとされています。たとえば文字が二重に見えたり、ゆがんで見えたり、算数の概念を理解できなかったりといった症状が見られます。
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