当事者が語る 発達障害のキャリアカウンセリング フォロー

「1ミリも共感できないが…」 発達障害の塾講師がいかに「特性」を生かし、生徒を理解していったのか

光武克・発達障害キャリアカウンセラー

 「発達障害の人って『想像力がない』ってよく言われますけど、これってどうしようもないんですかね?」

 ビジネス上のお付き合いがある人からこういった相談を受けました。

 背景には、発達障害、なかでも自閉スペクトラム症に分類される人の特徴として、

 ・言葉以外の方法(表情・身ぶり・手ぶり)といったノンバーバルコミュニケーションを苦手としており、相手の意図を読み取ることに困難を抱えている

 ・特定のことに強い興味・関心を持っており、行動上のこだわりがみられる

の二つがあると考えています。

 もちろん、いずれも私には当てはまっており、特に後者は強く僕の行動に表出しているなと感じています。僕の場合、「本棚における本の並べ方」や「使う包丁の種類」などが、特定のことに対する強い興味や関心として表れるのですが、これは本題とそれるので今日は話しません。ここだけ切り取るとただの神経質な人って見えるだけですしね。

自閉スペクトラム症はコミュニケーションが苦手?

 今日の本題はむしろ前者の方でして、「自閉スペクトラム症の人はコミュニケーションが極端に苦手である」という部分です。

 ネット上でかつてミーム化した言葉に「アスペ=コミュ障」のような表現がありましたが、差別的かどうかはさておき、世間一般からはこう見えているんだなと感じたことを鮮明に記憶しています。

 ここでの「アスペ=コミュ障」には、アウトプット(話す)とインプット(聞いて理解する)の両方が含まれていると思うのですが、私見として、そもそもインプットの状態からずれてしまっているため、アウトプットの精度が悪く、コミュニケーションが成立しにくい(ビジネス的に言えばコミュニケーションコストが高い)と判断されているように思います。

 では、なぜ自閉スペクトラム症はコミュニケーションが苦手なのか。そして、この特性は克服可能なのか。ここを説明していきたいのですが、先に結論から申し上げますと、…

この記事は有料記事です。

残り2454文字(全文3263文字)

発達障害キャリアカウンセラー

1985年、佐賀県出身。上智大学文学部中退後、フリーの予備校講師として活動し、学習参考書や発達障害関連の記事を執筆。障害者雇用を基軸とする人的資本経営の人事・組織コンサルタントを経て、株式会社Speeeにて中途採用リクルーティング業務に従事。2017年に発達障害者のためのバー「The BRATs(ブラッツ)」を東京・渋谷でオープン(現在は東京都内のイベントバーで随時開催中)。店舗のホームページ 光武さんのX(旧ツイッター)アカウント