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80代母「娘がいなくなった!」 見守りカメラに潜む混乱の種

ペホス・認知症ケアアドバイザー
 
 

 Uさん(80代・女性)は、自分が生まれ育った地域で就職し、幼なじみと結婚しました。そして、一人娘を育て上げ、娘さんを他県に嫁がせて、さあこれから夫婦水入らずで過ごせるというときになって夫ががんで亡くなり、それからは1人暮らしをしています。

 何より、生まれ育った地域で、知り合いも多くいます。電球の交換や粗大ゴミの運び出しなどは、近所の方が助けてくれていたので、困ることなく生活していました。手助けしてくれる人は、昔から知っている近所の「おっちゃん・おばちゃん」なので、娘さんもUさんの1人暮らしはまだまだ大丈夫だろうと思っていました。

 ところが、5年前、家の中で倒れているところをご近所さんに発見され、救急車で搬送されるといった出来事がありました。

 どうやら脳梗塞(こうそく)を起こしたようで、左半身がまひする後遺症が残りました。言葉が少し出にくくなったものの、意思疎通はできました。ただ、車いすが手放せない状態となってしまったため、自宅での1人暮らしは困難と判断され、Uさんと娘さんと親戚の伯父さん(Uさんの実兄)夫婦で話し合い、地元にできたサービス付き高齢者住宅(以下、サ高住)で一人暮らしを続けることになりました。

「遠方でも様子がわかる」

 サ高住に引っ越しをする時点で、脳梗塞の後遺症である「脳血管性認知症」がありましたが、定期的な受診・検査の中で「アルツハイマー型認知症」という診断もつくことになりました。

 とはいえ、サ高住でお世話になっているヘルパーはプロですので、Uさんが状況を理解できなくて険しい表情になっている時でも、上手に対応して支援してくれるため、Uさんが興奮・混乱状態になり、周囲が対応できずに困るということは起きていませんでした。

 ただ、遠方に暮らす娘さんとしては、自分が帰省してサ高住に顔を出すことが頻繁にできないので、とてもヤキモキしていました。

 そんな時に、インターネットの広告で、ある商品を発見しました。それが「見守りカメラ」というものでした…

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認知症ケアアドバイザー

ペ・ホス(裵鎬洙) 1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケアアドバイザー」「メンタルコーチ」「研修講師」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。ミカタプラス代表。→→→個別の相談をご希望の方はこちら