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ある日突然「おひとりさま」? 家族と暮らしていても備えておきたい想定外の事態

西川敦子・フリーライター
 
 

 単身世帯の増加が問題になっています。しかし、日本総合研究所の創発戦略センターのシニアスペシャリスト、沢村香苗さんは「たとえひとり暮らしではなくても、倒れたそのときから誰もが『おひとりさま』になりうる」と警鐘を鳴らします。家族がいても起こるかもしれない、想定外の事態とは……。

倒れた途端に「おひとりさま」と化す怖さ

 ――2024年4月公表の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、33年には平均世帯人数が初めて2を下回り、1.99人。「おひとりさま」が一般的となる時代が、すぐそこまで迫っているわけですね。

 そうですね。単身者の多い団塊ジュニア世代の高齢化とともに、「高齢おひとりさま」がこれからどんどん増えていくことでしょう。

 ただ、結婚していたり、家族がいたりすれば「おひとりさま」ではないか、といえば、そうではありません。単身世帯でなくても、倒れた途端、頼る相手のいない「おひとりさま」と化してしまうケースは少なくないのです。

 ――どういうことでしょうか。

 たとえば、いわゆる「8050問題」(80代の親が50代の子どもの面倒を見る問題)を抱えるご家族。ひきこもりのまま中高年になったお子さんを高齢夫婦が養っているような場合、夫婦のどちらかが体調を崩したら、残りの家族もケアしてくれる人を失ってしまう。全員がそれぞれ「おひとりさま」状態になってしまうわけです。

 また、親が90歳、100歳と長生きすれば、子どもも高齢となる。共倒れになってしまう場合も考えられます。

 ――「子どもはいるけれど迷惑をかけられない」と考える人もいるようです。

 今の子世代は経済的、時間的に余裕がない人が少なくありません。非正規雇用だったり、仕事に追われていたり。子育てしながらフルタイムで働く人も多くいます。その状態で親が倒れると、育児と介護を同時に担う「ダブルケアラー」となり、生活が立ち行かなくなってしまう。離れて住んでいる場合はなおさらです。

 ――たしかに晩婚化、晩産化が進んでいるので、子育てと介護が重なりやすい時代といえますね。子どもと関係がうまくいかず、力を借りにくいケースもあるようです。家族と連絡を絶つ「家族じまい」という言葉も聞かれるようになりました。

 核家族化が進み、地縁や血縁が希薄になった分、家庭は閉鎖的になりました。親が支配的になり、子どもが心理的に独立できないといった「毒親問題」も生まれています。また、地域や親類と疎遠だと、周りにSOSを出しにくい。誰の助けもないまま、ひとりで親の介護という重荷を背負うことを躊躇(ちゅうちょ)する子どもがいても不思議はありません。

 ――家族がいてもなかなか連絡がつかなかったり、支援を得られなかったりする人は「潜在的おひとりさま」と言えそうですね。

 スマホが主な連絡手段となっている今の時代はなおさらです。外出先で意識を失って救急搬送された場合、所持品などから自宅の電話番号がわかったとしても、家族に連絡がつくとは限りません。最近は知らない番号からの電話には出ない人も多いですから。スマホを開いて連絡先一覧を見ても、どれが家族の電話番号なのか、本人以外わからない。一時的に、「身元不明者」扱いになってしまう可能性は誰にでもあります。

一番困りやすいのは、資力が高くなく認知症ではない人

 ――身元不明者だと入院は難しいのでしょうか。

 厚生労働省の通知では、「身元保証人等がいな…

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フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクションなどを経て、2001年から執筆活動。雑誌、ウエブ媒体などで、働き方や人事・組織の問題、経営学などをテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」「みんなでひとり暮らし 大人のためのシェアハウス案内」(ダイヤモンド社)など。