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犬派と猫派で違う?ペットロス症候群 別れに備えて知っておくべき現実

西川敦子・フリーライター
 
 

 愛しいペットを亡くせば、誰もが深い悲しみ、寂しさにとらわれることでしょう。しかし、なかには「ペットロス症候群」となり、重篤なうつ病を発症してしまうケースもあります。通常の「ペットロス」とは異なり、心身に深刻な不調をもたらす「ペットロス症候群」とは。また、「ペットロス症候群」のリスクが高まる「ペット依存」とは――。アール医療専門職大学リハビリテーション学部教授の徳田克己さんに聞きました。

シニアを襲う「ペットロス症候群」

 ――ペットは今や人間にとってかけがえのない家族ですが、問題は亡くした後のショックや悲しみ「ペットロス」です。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、犬の平均寿命は14.6歳、猫は15.8歳(2023年)。私自身、2匹の猫を飼っていますが、自分の老いが進んだ頃、彼らと別れることを考えると不安になります。

 ◆愛するペットの死は人間にとって大きな衝撃となります。落ち込んで泣き続け、外に出る気にもならない――といった話はよく耳にしますよね。ペットロスは誰にでも起こりうる正常な反応といえるでしょう。

 ただし、以下のうち複数の症状が2カ月以上にわたって続き、日常生活に支障が生じている場合は、単なるペットロスではなく「ペットロス症候群」の可能性があります。

・眠れない 

・食欲がない

・何も手につかない 

・気がつくと涙が出ている

・死んだペットの姿が見えたり、声が聞こえたりする

 うつ病となり、なかなか回復できなくなる飼い主さんも見られます。高齢の方の中には、自宅にひきこもって足腰が弱くなり、やがて認知症を併発してしまう人もいます。

こんな人が危ない!ペット依存症の“あるある”

 ――なんだか心配になってきました。とくにどんな人がペットロス症候群になりやすいのでしょうか。

 ◆筑波大学では、全国のペット霊園の参拝者やスタッフ、動物病院の獣医師などを対象にヒアリングやアンケート調査を行い、ペットロス症候群の実態について調べています。その結果、ペットロス症候群になりやすい人には、いくつかの共通点が見られることがわかりました。

 「ペット以外に打ち込めることがない」「ペットを亡くした悲しみを話せるような仲間や家族がいない」――などです。周囲とほとんど関わりがなく、ペットだけが心の支えになっている状態は「ペット依存」と考えられます。

 ――ペット依存の人が重篤なペットロス症候群になりやすい、ということですね。

 ◆そうです。ペット依存とは、薬物依存やアルコール依存と同様、ペットに過剰に心を奪われている状態を指します。

 たとえば、「ペットを人間の子どもと同一視している」「病気やケガをすると激しく動揺してしまう」「ペットの世話をすることが生きがいと感じる」といった人は、ペット依存の可能性が高いといえます。ほかにも以下のような兆候があれば、要注意といえるでしょう。

<ペットに留守番をさせるのが不安でたまらない>

 外出前にエサや水を用意してきたにもかかわらず不安になり一刻も早く帰ろうとする。

<人間の食べ物をあげてしまう>

 ねだられるとダメと言えず、つい食卓のおかずや…

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フリーライター

にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクションなどを経て、2001年から執筆活動。雑誌、ウエブ媒体などで、働き方や人事・組織の問題、経営学などをテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」「みんなでひとり暮らし 大人のためのシェアハウス案内」(ダイヤモンド社)など。