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「タスク管理が苦手」「きつくて1カ月ほど休職も…」 過集中に悩む発達障害の会社員に送った、たった二つのアドバイスとは?

光武克・発達障害キャリアカウンセラー

 みなさん、こんにちは。

 光武です。

 12月に入り、一気に気温が下がってきましたね。

 先月、大きく体調を崩してしまい、仕事が大幅に遅延してしまいました。周囲にタスクを振るのが苦手なこともあり、職場のメンバーに大きく迷惑をかけてしまいました。

 イレギュラーなことが起こると、僕も含めて発達障害当事者は大きくパフォーマンスを下げてしまいます。

 以前相談に来られた、田中さん(仮名)もそんな一人でした。今日は彼の話をしてみようと思います。

イメージしにくい発達障害の困りごと

 ある程度客足が落ち着いたある日の午後9時ちょっと前に、田中さんは僕が経営するバー「The BRATs(ブラッツ)」にいらっしゃいました。店内の照明のせいかもしれませんが、やや表情は曇っているように思われます。

 光武「田中さん、お久しぶりですね。半年ぶりくらいですか」

 田中「そうですね。仕事が忙しく、そこからメンタルもがっつりヤラれてしまい、休職していたんです」

 光武「ええ、そうだったんですね。田中さん、かなり仕事はうまくいっている印象だったので、ちょっと驚きです」

 田中「僕らは見た目と実態が大きく乖離(かいり)しているなんてこと、光武さんが一番わかっていらっしゃるじゃないですか」

 光武「それもそうですね。これは失言でした」

 田中「でも、体調が回復したこともあって、いまは復職できているんです」

 光武「それは良かったです。ちなみに、この半年でどんなことがあったのか、よかったら少し教えていただいてもよろしいですか」

 田中「もちろんです。その前に、少しビールを頼んでもいいですか?」

 光武「おお、注文もまだでしたね、これは失礼しました」

 発達障害特性を持つ人間は、困っていることが周囲に理解してもらいにくく、適切なサポートをもらいにくいという現実があります。困りごとが想像しやすい障害、たとえば視覚障害や聴覚障害であれば、支援者側も困りごとがイメージしやすく、周囲とのあつれきが生まれにくい一方で、精神障害や発達障害の場合、支援内容がイメージできないため、適切なサポートにつなげにくいという状況は、日本の多くの職場環境でいまだに改善されていません。

 このテーマは別に掘り下げる機会を持つとして、今日は田中さんの話に戻って、より深く彼の話を聞いてみましょう。

 ビールを渡して、彼の話を聞くことにします。

 光武「田中さん、こちらご注文された生ビールです」

 田中「ありがとう、光武さん。やっぱり少しお酒が入るだけでかなり違いますね」

 光武「そうですよね。僕もお酒がないと生きていけない人間なので、それよくわかります。で、この半年に何があったんですか?」

 田中「そうだったね。じゃあちょっとだけ話をさせてもらうよ」

「ハイパーフォーカス」はもろ刃の剣

 田中「光武さん、実はさ…

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発達障害キャリアカウンセラー

1985年、佐賀県出身。上智大学文学部中退後、フリーの予備校講師として活動し、学習参考書や発達障害関連の記事を執筆。障害者雇用を基軸とする人的資本経営の人事・組織コンサルタントを経て、株式会社Speeeにて中途採用リクルーティング業務に従事。2017年に発達障害者のためのバー「The BRATs(ブラッツ)」を東京・渋谷でオープン(現在は東京都内のイベントバーで随時開催中)。店舗のホームページ 光武さんのX(旧ツイッター)アカウント