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大谷翔平選手はなぜみんなに愛されるのか?! アンチエイジングの専門家が語る、睡眠パワーとホルモンとの関係

米井嘉一・同志社大学教授

 今年、最後の記事になりました。テーマは愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」です。オキシトシンについては、2019年の記事「愛情ホルモン『オキシトシン』と食の深い関係」で紹介しましたが、その後5年間で研究が進み、いろんなことがわかってきました。生活習慣を工夫することで、オキシトシンの分泌を促進し、その恩恵を享受できるのです。今回はオキシトシンにかかわる最新情報です。

オキシトシンの三つの働き

 オキシトシンの代表的な作用について、次の三つに分けてお話します。

・陣痛誘発作用

・愛情ホルモンとしての作用

・抗ストレス作用

 オキシトシンは、脳の奥底にある下垂体から分泌されるホルモンで、出産時の分泌は子宮を収縮させて、陣痛を規則的に起こす作用があります。陣痛が来ない妊婦さんには、陣痛を誘発・促進する薬として使用されることがあります。出産時にオキシトシンの分泌量がもっとも多いことを考えると、これが一番大切な作用だと思います。

 愛情ホルモンとしての働きは、家族や仲間への絆(きずな)を深める作用です。子育てには特に重要で、オキシトシン作用が欠落すると、育児放棄やネグレクトにつながることがわかっています。

 あまり有名でないのが、この抗ストレス作用です。ストレスの応答反応には自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが大切ですが、オキシトシンの分泌によって副交感神経が優位になるように働くことで、心拍数が増えている状態の頻脈が緩和され、心身をリラックスさせる作用があります。その結果、ストレスに対する抵抗力が高まります。痛みの刺激や薬物禁断症状の他に、新奇刺激といって新しいことへのチャレンジ、新しい経験や人との出会いに伴うストレスに対して、オキシトシン分泌神経が特徴的に反応します。

 これらの作用はすべて重要です。一つひとつの家族が愛情あふれる幸せな家族になるための要諦と言えるでしょう。この働きは、家族単位から、仲間単位、そして国単位に広がることでしょう。オキシトシンは現代社会にもっとも必要なホルモンです。

オキシトシン分泌を刺激するには?

 オキシトシンを分泌するコツとして代表的なものは好刺激を利用する方法です。好刺激の説明として、赤ちゃんとのふれあいを例にとります。

 好刺激とは、授乳時の乳頭に受ける感覚といった触刺激、赤ちゃんの笑…

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同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。