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「2025年」の次は「2040年問題」。どうなる? どうする? 今後の在宅ケア

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
 
 

 来年は2025年。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることで、社会保障費の負担増や介護人材の不足が深刻化すると問題視されてきた年です。2006年、厚生労働省は「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~」で、20年後の日本では高齢者人口、認知症高齢者、1人暮らし世帯の数が増大すると公表しました。

 数字は予想を上回り、在宅で高齢者を支える人材の不足は、「介護崩壊」につながるほど深刻です。「こうなることは、ずっと前からわかっていたのに」と、関係者からは国の対応の遅れに怨嗟(えんさ)の声が上がっています。

 次の焦点となるのが、現在50代の団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となる「2040年問題」です。想定されているのは、さらなる高齢化と人口減。人材不足はさらに深刻化し、医療・介護・年金など社会保障制度の維持が難しくなると懸念されています。「在宅ケア」は、これからどうなるのか。11月に東京で開催された二つの在宅医療フォーラムを通じて考えたいと思います。

待っているのは、さらなる超高齢・超介護社会

 「35年前に2人の利用者から始めた私たちのNPOは、現在、700人の利用者。職員も120人となりました。長年、高齢者の支援を積み重ねてきた私たちが、さらなる超高齢、超介護社会に向き合おうとしているときに、生き残るのが厳しくなっていくというお話をしなければならないのが、とても不思議な気持ちです」

 11月23日に開催された「第20回在宅医療推進フォーラム」(国立長寿研究センター/在宅医療助成勇美記念財団主催)のパネルディスカッションで登壇した小島美里さん(NPO法人暮らしネットえん代表)は、苦渋に満ちた言葉でスピーチを始めました。今回の同フォーラムのテーマは「どうなる、どうする在宅医療~近未来の地域づくり~」です。

 介護の人材不足、とりわけ在宅を支えるホームヘルパーの危機的状況については連日のように介護報酬切り下げ問題が報道され、この1年で広く知られるようになりました。在宅医療にかかわる医師と医療関係者の発言が中心となるこのフォーラムで、介護分野の小島さんがパネリストに選ばれたのも、そうした流れだったと思います。

 同フォーラムが始まったのは2005年。翌06年に在宅療養支援診療所が診療報酬上の制度に盛り込まれたことで、1980年代に国が始めた在宅医療の普及にようやく拍車がかかり始めた時代です。私は2008年にケアマネジャーに勧められ、介護者として在宅医療を初めて利用しましたが、当時の在宅患者数は30万人に満たず(※1)、一般市民にはほとんど知られていない状態でした。

在宅ケアの仕組みは整ったが、問題は人材不足

 その在宅医療の利用者が今年、100万人を超えました…

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。