「自分たちの主張こそ正しい」「共感できない情報はみんなフェイクニュースだ」――。米大統領選や兵庫県知事選ではSNS(ネット交流サービス)の情報が有権者の行動を大きく左右したことがわかり、韓国では突然の戒厳令宣布で弾劾訴追案が可決された大統領が、動画投稿サイト「ユーチューブ」の情報に影響を受けていた可能性が伝えられています。今、インターネットの世界では次々に過激な主張が登場しては拡散され、安易に信じてしまう人の心の動きが注目されています。世論を分断し政治も揺り動かす「エコーチェンバー現象」とは?
“つながりあう時代”の落とし穴について、メディア心理学に詳しい立命館大学総合心理学部准教授の竇雪(とう・ゆき)さんに聞きました。
「自分が見ている世界こそ正しい」と思い込む危うさ
――11月17日に投開票が行われた兵庫県知事選挙で、「フィルターバブル」という現象が話題になりました。どんな現象なのでしょうか。
インターネット上で、まるで「泡(バブル)」の中に包まれているように、自分の見たい情報しか見えなくなる状態を指します。米国の環境活動家、イーライ・パリサーによって名づけられました。
インターネットの情報は、一回でも見るとクリック履歴や検索履歴が残ってしまう。だから、どんどん同じようなサイトが画面に出てきます。アルゴリスム(コンピュータが情報を処理する際の手順)によって、その人が興味をもつであろうトピックが推定され、見たくなさそうな情報が遮断されるからです。
――たしかに、SNSに上がってくる広告をクリックすると、その後、関連商品の広告ばかり出てきてうんざりすることがあります。その人の属性や好みに合わせた情報を提供するように、勝手にパーソナライズされるわけですね。
そうですね。広告だけでなく、あらゆるインターネットサービスの情報がパーソナライズされている点には注意したほうがいいと思います。
たとえば、ユーチューブを検索してニュースを知り、続けて表示される関連ビデオを見る――という人も多いと思います。そうやって自らリサーチすれば、「多様な情報、意見を知ることができた」と納得感が得られるかもしれません。しかし、自分のところに集まってくる情報は、自分の見たいものだけに限定されている可能性が高いのです。
斎藤氏を支持するサイトにしろ、批判するサイトにしろ、一回見ると同様のコンテンツがいくらでも流れてきます。自分の見ている情報が世論なんだ、と考えるようになるのも無理はないでしょう。
――インターネットには膨大な情報があふれているので、アルゴリズムの機能はありがたい面もありますが。落とし穴も存在しているのですね。
そうです。フィルターバブルはなかなか自覚できないところが厄介なのです。さらに、SNSが普及した現代は、もっとややこしい問題が出てきました。
あらゆるSNS…
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