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健康でも「不慮の事故」は十分起こり得る 冬のお風呂にご注意

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)
ヒートショックの対策がとられていない浴室=福岡市東区で2023年1月
ヒートショックの対策がとられていない浴室=福岡市東区で2023年1月

 歌手・女優の中山美穂さんが「不慮の事故」で亡くなった、というニュースが飛び込んできました。事故の詳細は不明ですが、寒い季節のお風呂は特に注意が必要です。当救急センターにも風呂場で意識を失った80歳の男性が救急搬送されるケースがありました。

 家族などの説明によると、夜10時に「お風呂に入る」と家族に告げ、風呂場に向かったそうです。ところが、普段であれば15分くらいで出てくるのに、30分ほどたっても出てこないため、様子を見に行ったところ、浴槽の中で動けなくなっている状態でした。どうやらお湯につかっているうちに意識を失い、水を飲んでしまったようでした。

ヒートショックとは?

 冬のお風呂のトラブルとして「ヒートショック」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。ヒートショックは和製英語です。海外にはThermal shockという言葉がありますが、これは物体が温度変化で受ける衝撃を指しており、ヒトについて起きる現象のことではありません…

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国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。