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加工玄米を妊婦が食べていたら、出生時に低体重の子どもが減った?! 便通や睡眠の質が改善したとの声も 糖化ストレス軽減作用が影響か

米井嘉一・同志社大学教授

 新しい年を迎えました。みなさん、今年の抱負は何でしょうか。いろいろ夢をめぐらす良い機会です。今回は、日本の将来にとって大事な、夢と現実について語ることにします。

 私の仕事は研究と教育です。教員として教えることもありますが、反対に若者や中高年者、高齢者からも多くのことを学びました。高齢者は自身の健康について不安を抱くことが多いですが、自分たちの後の世代、そして日本の将来について心配する声を聞くことが少なくありません。

 現在の後期高齢者(75歳以上)の若かりし頃(20歳前後)に比べて、現在の若者(20代前半)は心身ともに健康なのだろうか、という疑問があります。いまの20代の若者が50年後にどうなるかと予想するのは簡単なことではありませんが、これまでの研究成果を集積・熟考し、限られた予算で最良と思われる事業を始めました。

低体重児の割合が低下傾向に

 妊娠した女性は市役所に届け出て、母子手帳の交付を受けます。そして、希望する女性に対して「元気な赤ちゃんを産んでくださいね」との願いをこめて、加工玄米(玄米の栄養成分をそのまま残し、調理しやすく食べやすく加工したお米)を出産予定月まで毎月(最大10kg)お配りします。

 題して「マタニティ応援プロジェクト」。大阪府泉大津市の南出賢一市長の旗振りで、市を挙げた「食」と「健康」の取り組みを2023年4月より始めました。

 妊婦さんの食生活はおなかの子どもの発育に極めて重要です。妊婦の喫煙やアルコール摂取、栄養不良は発育不良につながり、低出生体重児(生まれた時の体重が2500g未満)の原因になります。その数は近年増加傾向にあり、さまざまな取り組みが計画されていますが、このように行政サービスとして自治体レベルで行われる事業は日本で初めてです。

 私は、公益財団法人「医食同源生薬研究財団」の代表理事として、本事業のコーディネーターとして、データ解析のお手伝いをしています。日本の将来を担う大切な赤ちゃんの健康支援を胎生期の段階から行うのですから、安全面については最大限の配慮をしています。

 泉大津市では1年間に約500人の赤ちゃんが誕生します。開始後、第1四半期(約3カ月)に登録し、解析した83人分について報告します。

 出生児と1カ月児健診時の体重と、低出生体重児の割合の推移を以下に示します。

 19年度から22年度までは泉大津市の年間出生者(約500人)の平均体重と割合です。プロジェクト開始後に生まれた赤ちゃんでは、…

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同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。