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「試験目前なのに…」受験生の大敵「花粉症」 専門家が伝える、つらい症状を和らげ集中力を高めるための対策

会場で試験用紙の配布を待つ受験生ら=東京都文京区で2025年1月18日午前9時11分、玉城達郎撮影
会場で試験用紙の配布を待つ受験生ら=東京都文京区で2025年1月18日午前9時11分、玉城達郎撮影

 受験と花粉症のシーズンが重なるこの時期、花粉症による不快な症状と闘いながら勉強に励んでいる受験生は多いでしょう。ただ、鼻づまりや目のかゆみ、さらには薬の副作用で眠気を感じるといった状況では、学習効率が下がってしまいます。花粉症対策はさまざまあり、受験勉強や試験本番に備えるためにも早めの対策が必要です。受験生が安心して勉強に集中できるよう、感染症の専門家、高橋謙造医師が花粉症対策のポイントを伝えます。時間に余裕のない受験生への「奥の手」とは?

試験中にくしゃみ、鼻グズグズ…

 実は私、花粉症という言葉が一般に知られるようになる前から、花粉症に悩まされてきました。私が生まれ育ったのは、福島の田舎ですが、母屋の裏には立派な杉林がありました。できたてのフレッシュなスギ花粉に子どもの頃からさらされていたため、小学校3年生頃から、鼻グズグズで周囲に嫌がられていました。

 私が最も苦労したのは、大学受験で共通1次試験(当時)を受けた時です。その年は体調がよく、花粉もあまり影響がなかったので、お薬も特に内服せず、意気揚々と試験会場に乗り込みました。すると、鼻水が止まらなくなったのです。慌ててトイレに駆け込み、トイレットペーパーを多めに拝借して席に着きましたが、問題用紙が配布された頃から、くしゃみの発作に襲われたのです。それからは、くしゃみや鼻グズグズが続き、問題にも集中できず。周囲から白い目で見られながらなんとか試験を終えましたが、結果は惨敗でした。

 翌年度には、しっかりと内服薬や点鼻薬で完全武装して試験に臨んだのはいうまでもありません。医学生になってからも、「花粉症患者のプロ」を自覚していたので、耳鼻科などの授業はかじりつくように聞いていました。実際に専門的な授業を聞くと、いろんな思い込みがあったことに気付かされました。実は花粉症に関して、一般の患者さんがもっている知識と医療的知識との間には大きな隔たりがあったのです。

内服薬はトライアンドエラー

 花粉症の治療薬には、内服薬としての抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬)とステロイド薬、点鼻薬、点眼薬のほか、最近だと舌下免疫治療薬というスギ花粉アレルギーを根本から弱めるお薬や、皮下注射のお薬まであります。治療薬もどんどんと新しいものが開発されていて、これらはより高い効果が得られ、副作用が少ないお薬になってきています。

 「花粉症でつらい」と病医院を受診すると、大抵はまず内服薬(抗ヒスタミン薬)が処方されます。しかし、処方された抗ヒスタミン薬が合わず、眠気が止まらないといった副作用を経験された人は多いと思います。内服薬は、この20年ほどで著しく改善してきていますが、この眠気という副作用をいかに減らしていくかという課題との戦いであったようです。

 2025年現在、古いタイプの抗ヒスタミン薬(強い副作用の頻度が多い)はほぼ姿を消しています。しばらく病院と距離を置いていた人は、再度受診を考えてみると良いでしょう。しかし、抗アレルギー薬は万能ではありません。つまり、実際に内服してみて、そのお薬が効果を出し、副作用が少ないかを確認しなければなりません。

 私自身の経験としては、30年近く前になりますが、当時、多くの同僚医師がフマル酸ケトチフェンを愛用していました。しかし、私が内服するとあまりにも眠くて全く仕事にならないのです。そこで、以前から愛用していたアゼラスチンという抗アレルギー薬を使用していたのですが、同僚医師たちからはアゼラスチンは評判が悪く、「そんなの全然効かないだろ? 効かないくせに眠くなる」とよく言われていました。しかし、私自身は時々くしゃみはあるものの、症状は安定して、仕事にも集中できました。それくらい、薬剤の効果には個人差があるのです。残念ながら、このアゼラスチンを在庫として置く調剤薬局がほとんどなくなり、新たに相性のいいお薬を探すのには苦労しました。

 また、ステロイド含有内服薬も以前はかなり処方されていました。しかし、この薬は長期間服用すると肥満などの副作用があり、常用は難しいお薬です。

 結局は、…

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