「勝負ネクタイはやっぱり赤」「新しい部屋はライトブルーで統一して気分を一新しよう」。日常生活のなかで、ふと色の力を感じることはありませんか。実際、国内外のさまざまな研究からは、色が心理にもたらす影響があきらかになっています。日本ユニバーサルカラー協会代表理事の南涼子さんに、色の効果や活用術について聞きました。
白い部屋で長く過ごしていると不安定に
真っ白な壁、床、リネン――。白で統一された部屋は清潔感があり、明るく広く見える。だが、意外な落とし穴もある。白ずくめの空間で長時間、過ごしていると心が落ち着かなくなったり、緊張してイライラしたりと、精神的に不安定になりやすい。
理由は白がもつ「まぶしさ」にある、と説明するのは日本ユニバーサルカラー協会代表理事の南涼子さんだ。
私たちが色だと思っているものは、可視光線という電磁波の一種。物体に当たったとき、吸収されずに反射した可視光線が目に入り、脳に届いて初めて色として認識される。すべての可視光線が吸収されることなく、乱反射している状態だと物が白く見える。「長時間、白い部屋で過ごしていると、視神経に負担がかかりやすい。ストレスを感じる人もいます※1。かつて、病院や介護施設は壁も床も白一色、ということが多かったのですが、緊張感を抱く患者や症状が悪化する認知症高齢者が増えることがわかり、現在はいろいろな色彩が取り入れられています」
「古い脳」を通して喜怒哀楽や食欲、性欲、自律神経の調節に作用
色は、知らず知らずのうちに私たちの心身に影響を与えている。というのも、色の刺激は、視覚情報を処理する脳の視覚野だけでなく、「古い脳」と呼ばれる大脳辺縁系にも届くからだ。大脳辺縁系は記憶や情動、喜怒哀楽、食欲、性欲、睡眠欲、自律神経の調節などにかかわる領域(※2)。色の違いで気分や体調が変わるのもうなずける。
たとえば赤は興奮を促し、気分を高揚させる。気持ちを外に向けさせる効果もあるので、感情をため込みやすい人は赤い服を着るとストレスが発散できそうだ。
「赤は男性ホルモン、テストステロンを高める効果もあるとされます。2013年に発表されたイギリスのサンダーランド大学の研究では、赤を好む男性は、青を好む男性よりもテストステロンの分泌量が多いことがわかりました」
視認性が高いこともあり、「危険だ」「止まれ」といったメッセージに結びつきやすいのも赤の特徴だ。興味深いのが、「赤い食器は食欲を抑える効果がある」とするイギリス・オックスフォード大学などの研究結果である。ダイエットしたい人には朗報といえるだろう。
青はリラックスするときに働く副交感神経を優位にし、血流や心拍数、血圧などを低下させる働きがある。頭をクールダウンさせるため、イライラを鎮めたいとき、深く物事を考えたいときなどに向く色という。
黄色、緑、ピンク――カラフルな色がもたらす効果とは
海外では、鮮やかな色をファッションに取り入れる「ドーパミンドレッシング理論」に注目が集まっている。彩度の高い赤や青、ピンク、緑、黄色などで脳を刺激し、元気になろうというもの。アメリカの心理学者、ドーン・カレン氏が著書で紹介し、広く知られるようになった。ドーパミンは、やる気や幸福感を高める神経…
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