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みのもんたさんも苦しめたパーキンソン病 のどにものが詰まりやすくなるのはなぜ?

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長
文化放送から贈られた古いスタンドマイクを手に「まっすぐ向き合わないと声が入らないんだよ」と語るタレントのみのもんたさん=東京都港区で2020年3月2日、北山夏帆撮影
文化放送から贈られた古いスタンドマイクを手に「まっすぐ向き合わないと声が入らないんだよ」と語るタレントのみのもんたさん=東京都港区で2020年3月2日、北山夏帆撮影

 テレビの情報番組などで司会を務め、人気を集めたタレントのみのもんたさんが今月、亡くなられました。テレビやインターネットで報じられたニュースによると、焼き肉店で肉をのどに詰まらせ救急搬送され、意識不明の状態が続いていたそうです。嚥下(えんげ)障害の原因には、みのさんを長年にわたり苦しめてきたパーキンソン病があったと推察されます。私が遭遇した、みのさんと似たような患者さんのケースをご紹介しながら、パーキンソン病とはどんな病気で、何に注意すべきなのか、みなさんにお伝えしたいと思います。

声がかすれ、小声に…

 その患者さんは78歳の男性で、70歳のころに筋肉がこわばるなどの症状が表れたため、パーキンソン病と診断しました。

 はじめは治療薬を使っていたのですが、だんだんと効かなくなっていきました。そこで脳に電極を差し込み、筋肉のこわばりをコントロールする「脳深部刺激療法」を大学病院で受け、ある程度からだが動くようになるなど調子を取り戻した直後の出来事でした。

 昨年の夏ごろです。「お父さんが大変です!」。家族の方から私のクリニックに、とても慌てた声で連絡がありました。

 急ぎ、男性の自宅に駆けつけると、男性は「ひっ、ひっ……」と、ひきつったような状態で横たわっていました。妻によると、男性は焼き肉が好きだから、小さく切って食べさせていたそうです。すると、男性は突然、むせはじめ、顔が真っ青になったといいます。

 ベッドの横に置かれたたんの吸引器を鼻から入れてスイッチを入れたところ、たんと一緒に肉の塊が出てきました。しかし、男性はすでに息が絶えたような状態でした。心臓マッサージをしても蘇生せず、そのまま亡くなられました。

 後からご家族に聞くと、電極を入れる手術をしてから、からだの調子は良かったものの、昨年の春くらいから声がかすれ、小さくなっていたようです。よく聞かないと、男性が何を言っているのか分からない。水やお茶、コーヒーを飲むと、むせることがあったといいます。

 確かに、私にも思い当たることがありました。往診していて、男性から話を聞いてもよく聞き取れない。何度も聞き直すことがたびたびありました。もともと、男性は地声の大きかった方なので、パーキンソン病の症状が進んでいるのでは、と気になっていました。

特徴は運動症状と自律神経の乱れ

 パーキンソン病は、神経難病の一つです。50歳以上で起こることが多く、国の指定難病にもなっています。

 原因は、…

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くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。