労働が評価されない日本

小井土彰宏・亜細亜大学国際関係学部教授
山崎一輝撮影
山崎一輝撮影

 技能実習生(1993年創設、2030年ごろまでに廃止)という制度があります。技能、あるいは単純労働力とはなんなのでしょうか。亜細亜大学国際関係学部教授の小井土彰宏さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】

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技能が正当に評価されない

 ――技能実習生は技能を身につけたら出身国に帰るという建前ですから、日本にいる間はまだ技能を持っていないことになっています。

 ◆実際は技能を身につけている人はいるのですが、その側面はあまり指摘されてきませんでした。これは日本国籍を持っていても同じですが、技能を身につけた場合に、どういう評価になるか、賃金が上がるか、あるいは休みが増えるなどの処遇改善があるかどうかです。

 日本は働く人に対して、労働や技能を正当に評価してこなかった部分があります。労働に対する対価があまりにも低かったことが、可処分所得が下がり、有効需要が低い社会を作った根本的な原因です。

非正規滞在者は「下層」か

 ――非正規滞在者の場合も、単純労働の下層労働者という思い込みがあります。

 ◆私が調査(08~11年)をした、非正規滞在者を多く雇用していた米国の工場の例では、実は非正規滞在の…

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亜細亜大学国際関係学部教授

 一橋大学名誉教授。著書に「移民受入の国際社会学」(編著、名古屋大学出版会)「移民政策とは何か」(共著、人文書院)など。