日本で暮らす移民と日本語 こどもにとってことばとは

榎井縁・藍野大学教授
西村隆撮影
西村隆撮影

 日本で暮らすなら日本語を話すのが当然なのでしょうか。「外国人の子ども白書」(共編著、明石書店)などの著書がある藍野大学教授の榎井縁さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】

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 ――自分のことばが固まってから来る大人と違い、こどもの場合は難しい問題があります。

 ◆まず、使える言語が多いほうが強いということはいえます。こどもが親の言語を学ぶ機会はあるべきです。ただこどもの場合、特に幼少期に移民してくると、親の言語を失って、日本語しか話せなくなることはよくあります。

 親のことばで親と話すことはできても、学ぶことばは日本語になっていて、親のことばで考える力はなくなっていることもあります。

親のことばと違う

 ――自分のことばと親のことばが違うと困ることもあるのではないでしょうか。

 ◆こどもの場合、親よりも日本語が話せるようになることが多いために、親子関係の逆転が起きます。行政の手続きなどをこどもがやっていることが珍しくありません。こどもが日本の複雑な大人社会に直接向き合わなければならないという不合理なことが起きます。

 こどもからは親が「日本語ができない親」に見えてしまいます。親に対する尊敬を…

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藍野大学教授

 藍野大学医療保健学部教授。専門は教育社会学。公益財団法人とよなか国際交流協会理事。著書に「多文化共生の実験室――大阪から考える」(共著、青弓社)、「公立学校の外国籍教員――教員の生(ライヴズ)、『法理』という壁」(共編著、明石書店)、「移民政策とは何か――日本の現実から考える」(共著、人文書院)、「移民政策のフロンティア――日本の歩みと課題を問い直す」(共著、明石書店)、「外国人の子ども白書」(共編著、明石書店、第1版2017年、第2版は22年)、「ひとりもとりこぼさない学校へー部落、貧困、障害、外国ルーツの若者の語りから」(共著、岩波書店)