日本で暮らす移民のこども

南野奈津子・東洋大学教授
根岸基弘撮影
根岸基弘撮影

 移民のこどもたちは日本にも多くいます。近著に「多文化理解からはじめる外国ルーツの子ども家庭支援ハンドブック」(慶応義塾大学出版会)がある東洋大学教授の南野奈津子さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】

 ◇ ◇

生活者として

 ――移民については労働力の側面ばかりが強調されていませんか。

 ◆移民の受け入れに肯定的な人たちが、否定的な人たちに対して、受け入れのハードルを下げる言い方として、日本では移民の労働力が必要だと言うことがあります。知識のない人にも納得しやすいからだろうと思います。

 ――住んでいれば生活者です。

 ◆労働はそれ以外の生活と切り離せないものなのですが、移民に限らず、日本の政策では働くことと生活を一体としてみることが欠けています。

 政府が受け入れを進めながら「移民ではない」と言い続けていることも影響しています。長く住んでいれば生活への支援も当然出てくることなのですが「移民ではない」としているために、生活者としての側面が理解されないままになっています。

 また、どのような生活支援が必要かという課題以前に、きちんとしたデータを積み重ねた議論が不足しています。いかなるデータにも基づかず、票を集めるために「外国人」ということばを連呼する政治家がいるのは非常に怖いことです。

こどももいる

 ――暮らしていればこどももいるのですが、あまりそのようにはみられていません。

 ◆移民を労働力としてだけ考えると、こどもは労働者ではありませんから、こどもへ…

この記事は有料記事です。

残り939文字(全文1565文字)

東洋大学教授

 東洋大学福祉社会デザイン学部子ども支援学科教授。研究テーマは、児童家庭福祉、多文化ソーシャルワーク、移住女性の福祉問題など。著書に、「外国人の子ども白書」(共編著、明石書店)、「いっしょに考える外国人支援」(編著、明石書店)、「多文化理解からはじめる外国ルーツの子ども家庭支援ハンドブック」(慶応義塾大学出版会)など。