改めて「7条解散」を問う

古賀伸明・元連合会長
衆院が解散され、議員らが万歳するなか一礼する高市早苗首相=国会内で2026年1月23日、和田大典撮影
衆院が解散され、議員らが万歳するなか一礼する高市早苗首相=国会内で2026年1月23日、和田大典撮影

 2月8日投開票で行われた衆院選は自民党の歴史的勝利となった。選挙結果は民意の明確な表れであり、その重みは率直に受け止めなければならない。しかし、圧勝という結果で強い与党基盤を得た時こそ、おごることなく異論にも耳を傾け、一層の自制と説明責任で、熟議を尽くす民主的運営の姿勢が求められる。

 今回の選挙戦で象徴的だったのは、高市早苗首相の「自分が総理でよいのかどうかを国民に問う」という争点設定である。しかし、議院内閣制のもとでは、首相は国民によって直接選ばれる存在ではない。国民が直接選ぶのは衆院議員であり、その多数派が首相を指名し、その信任に基づいて内閣が成立する。

 総選挙は政権選択の意味を帯びることはあっても、本質的には議会構成を決める選挙である。首相個人の信任投票のように語られることは、制度の理解を単純化しすぎる危うさをはらむ。しかも、今回の衆院選は政策の議論というより、人気投票の様相を呈していたことは極めて残念だ。

 加えて、日本は国政選挙が多すぎるという構造的問題を抱えている。衆院は任期4年とされながら、実際には解散が繰り返され、平均在任期間は大きく短縮されてきた。今回は前回の衆院選から1年3カ月しかたっていない。

 参院選は3年ごとに実施される。結果として、政治は常に「次の選挙」を意識せざるを得ず、短期的な人気取り政策が優先されやすい。財政規律や社会保障改革のような中長期課題は後景に退き、給付や減税が競われる、いわゆるバラマキ合戦の構図が常態化する。

 その背景にあるのが、「7条解散」の運用である。

 衆院解散をめぐる憲法7条の解釈は、戦後憲法学における代表的な論争…

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元連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。その後22年まで連合総研理事長を務め、現在は国際経済労働研究所会長。