高市早苗首相は長期政権を目指せるか

八代尚宏・昭和女子大特命教授
参院予算委員会で答弁する高市早苗首相(左)=国会内で2026年3月17日、平田明浩撮影
参院予算委員会で答弁する高市早苗首相(左)=国会内で2026年3月17日、平田明浩撮影

 高市早苗首相は衆院選に圧勝後、選挙による遅れを取り戻すべく、2026年度予算の年度内成立を急いでいる。しかし、予算の成立後、山積する経済政策の課題に、どのように取り組むのだろうか。

 第一に、短期的な課題として、実質賃金の引き上げがある。日本経済は長期デフレから脱出し、足元の名目賃金は2%強の増加である。しかし、イラン危機での原油価格高騰で、インフレリスクが高まっている。

 すでに物価対策としてガソリン税率が引き下げられ、食料品の消費税減税も検討されているが、いずれも家計負担の軽減策にとどまっており、インフレ自体の抑制策ではない。

 インフレの主因は1ドル=150円を超す大幅な円安である。企業は円安で輸出増になり、利益は増えるが、消費者は輸入品の値上がりで負担増となる。外国人観光客が「安いニッポン」を楽しむ半面、国民にとって輸入品の購買力は低下し、生活は窮乏化する。

 過度の円安水準は、いわば日本人の労働力の安売りだ。これを…

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昭和女子大特命教授

 1946年生まれ。経済企画庁、経済開発協力機構エコノミスト、上智大教授、日本経済研究センター理事長、国際基督教大教授などを歴任。著書に「日本的雇用・セーフティーネットの規制改革」(日本経済新聞出版)「脱ポピュリズム国家」(同)「シルバー民主主義」(中公新書)、「『政府の失敗』の克服」(日本法令)など。