初志貫徹が志望校合格を導く!共通テスト難化で個別試験勝負へ

波乱は「3年目」も続くのか。いよいよ2023年度(23年4月)入試が9月からの総合型選抜入試を皮切りにスタートする。コロナ禍に制度改革など過去2年、大学入試は大きく揺れた。そこから見えてきたものは何か。今春の入試結果を振り返るとともに、今後の大学、学部・学科選びへの道しるべを探った。

導入2年目の大学入学共通テストは、数学Ⅰや数学Ⅰ・A、日本史B、化学、生物など平均点が大幅にダウンする科目が相次いだ。駿台予備学校進学情報事業部の石原賢一部長は「共通テストが難化して平均点が下がり、個別試験勝負になりました。そして、難関大志望層が強気の志願を維持したことが目立ちました」と今春の特徴を挙げる。

駿台とベネッセによるデータネット実行委員会の推計によれば、初年度の共通テストの5教科7科目の平均点は、文系で552点(900点満点)、理系で572点(同)。2年目の今春は文系が508点、理系は513点とダウンした。ただ、過去の共通試験は2年目も得点率は6割を維持していた。共通テストの得点率は文系が56%、理系が57%で過去にないダウン幅で、正に「波乱」が起きた。

今回は成績の上位や下位にかかわらず、総じて平均点が下がった。大学通信情報調査・編集部の井沢秀部長は「成績上位層も得点を伸ばせなかったことで、受験生は『同じスタートライン』に立てました。そのなかで、成功したのは平均点ダウンにも動じず、自分の立ち位置をしっかり冷静に分析し、国公立大に2次試験など個別試験まで諦めず、頑張り続けた受験生でした」と話す。

難関大は志願者増
準難関大は減

では、志願動向はどうだったのか。駿台の石原さんは、「準難関大以下を志望する層は共通テストの平均点ダウンを受け、1ランク下の大学に出願した受験生が多かったと考えられます。実際に準難関レベルの大学は、志願者減が目立っています」と指摘する。合否の決定で、難関大は共通テストの成績が占める割合が低く、準難関大から一般的な大学までは、その割合が高い傾向にあるからだ。昨春まで志願者数が6年連続で国公立大トップだった千葉大をはじめ、東京都立大や筑波大、横浜市立大なども志願者減となった。

対して、東京大や京都大はじめ旧帝大など難関国立大は軒並み志願者を増やした。東京大は前年比418人増、京都大も9年ぶりの志願者増。北海道大、九州大、大阪大も志願者が増えた。駿台の石原さんは「上位層には共通テストの難化は『個別試験勝負』を挑める、むしろチャンスとなり、とことん強気で押した受験生が多かったと思われます」。一方で「コロナ禍前の19年春の私立大文系の最難関グループ全体の実質倍率は5.2倍でした。今春は3.4倍にまで下がっています。大学の間口は確実に広がっています」。

少子化による受験人口の減少で倍率は下がる傾向にある。波乱が起きても動じず、志望を貫くことが、合格を引き寄せることもあるのだ。

不透明だからこそ
納得のいく志望校選びを

共通テストは現在、多くの私立大も利用する。平均点ダウンは、その入試にも影響を与えた。一つが難関私立大での志願者増だ。

今春は上智大、中央大、立教大、関西大を除いた難関大は志願者が増えた。大学通信の井沢さんは「共通テストの難化により、国公立大志望者の併願が増えた。首都圏や関西圏で難関や準難関の国公立大を狙っていた層は、自宅から通える私立難関・準難関大を併願したためでしょう」と見る。私立大の志願者総数は駿台の推計で約332万5000人。前年比14%減と戦後最大の減少幅だった昨春から、今春は0.1%の微増だった。

来春入試に向けて、駿台の石原さんは「共通テストはまだ2年。今後、何が出題されるかは読みにくい。共通テスト対策の模試を複数回受験し、どんな問題が出ても慌てないようにメンタルトレーニングをしておくことです」とアドバイスを送る。さらに「一般選抜の倍率が下がり、合格しやすい環境だからこそ、自分がやりたいことができる大学を夏までに見つけ、早い時期に志望校を固めてほしい」と力説する。

大学通信の井沢さんは「コロナ禍やウクライナ危機など、自らの意思ではどうにもならない不安定要素とも対峙しなければなりません」と受験生の置かれた状況を心配する。その上で「学校現場や保護者など、大人の支援が必要なのは言うまでもありません」と付け加えた。ロシアのウクライナへの侵攻、それに伴う物価の高騰など、先行きの不透明感も漂う。だからこそ、大学が発信する情報へのアンテナを高くし、納得いく志望校選びが肝要になる。

※本文は毎日新聞本紙特集(2022年6月24日付)を編集、引用しています。