稲田朋美・元防衛相 単独インタビュー 「私が法務省に激怒した理由」
稲田朋美元防衛相ら自民党議員が、冤罪被害を助長する「検察抗告」の禁止を訴え、法務省側と痛烈バトルを繰り広げている。国会提出が予定されている刑事裁判のやり直しを定めた「再審制度」の改正案をめぐるものだ。その深層について稲田氏が語り尽くした。(ジャーナリスト・鈴木哲夫/サンデー毎日5月10・17日号掲載)
「マスコミが退出するまでに私、ひとこと言わせてもらいたいんですよ!」
4月6日、自民党の法務部会と司法制度調査会の合同会議。いつものように冒頭のみのテレビカメラや記者などの取材が許可され、「ここからはご退席ください」と司会者が言ったまさにその瞬間だった。立ち上がって強い声で語ったのは、弁護士資格を持つ稲田朋美元防衛相だった。
「1ミリも私たちの言うこと聞かないじゃないですか。ほとんどの議員が抗告禁止って言っているにもかかわらず、まったく無視している!」
テレビ各社は稲田氏が激怒した訴えを撮影し、ニュースで放送。これが再審法改正へ世間の関心を大きく引き寄せるきっかけとなった。
揺れているのは冤罪(えんざい)など裁判をやり直す「再審」制度を見直す改正案だ。現在、再審が決まった後にも検察が不服申し立て、つまり抗告することができるため、最終的に無罪になっても裁判は異常に時間がかかる。
1966年、静岡県で起きた一家4人殺害事件で再審無罪となった袴田巖さんのケースでは、2014年に地裁で再審開始決定が出たが、検察側の抗告で再審開始までに9年かかった。無罪を勝ち取るまで58年という歳月がかかったのだ。
稲田氏らは、「抗告」は人間の尊厳や法の精神の観点から禁止すべきとして、再審の制度改革を目指し超党派の国会議員連盟で改正案をまとめようと動いていた。一方、法務省側は職務に過ちはないとする検察の立場から「抗告」は守りたい。そのため議連の動きなどを察知して先手を打ち、法制審に諮問して今国会で改正案を通そうとしている。
今回、政府提出法案として国会に提出するためには、自民党の事前審査を通過する必要がある。このため、法務省による6日の自民党合同会議での法案説明となったのだ。だが、出てきた内容は予想通り検察抗告は残したまま。それで稲田氏らの怒りの発言となった。
そもそも再審法改正の問題の本質は何か。私は、レギュラー出演している東海テレビの「ニュースONE」(4月21日)のコーナーで稲田氏に単独インタビューした。その概要は以下だ。
――法務省案が抗告を残すことにそれでいいのかと感じていたが、稲田さんが6日の合同会議でやっと言ってくれたなと。その経緯は?
稲田 「抗告の議論の盛り上がりはすごくて、(参加者の)ほぼ全員が抗告を禁止すべきだと言っている。にもかかわらずスルーして、(法務省側は)次の証拠開示に行くっていう日だった。それまで4回合同会議があって、1回3時間くらいありました。私が毎回言っていたのは、袴田さん事件の関係者、福井事件の関係者、抗告禁止すべきと言っている有識者のヒアリングをやってください、議連の案を席上に配布して今出されている法制審の案を対比できるようにしてくださいと。それをまったく聞かないで次の論点にいくことについて、マスコミがいる前で異議を言おうと立ち上がったんです」
稲田氏が…
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