東京造形大学テキスタイルデザイン専攻の4年生と、大学院修士課程2年生の有志による卒業制作展「TEXTILE FIGHTERS」がスパイラルガーデン(東京都港区)で開かれている。卒業、修了までに身につけた技術と感性を布に託した力作ぞろいだ。
作品を展示しているのは学部生20人、院生3人。優れた作品に贈られる「造形賞」には、学部生の一松岳さんと平塚千寛さん、院生の鵜飼(うかい)甘菜さんの3人が選ばれた。
一松さんの作品は、シルクオーガンジーのシャツにデニムの糸を縫い込んでいる。不要になったジーンズをほどき、藍色に染められた経(たて)糸を1本1本取り出し、1本分の糸で1枚のドレスを作り上げた。「友人たちからはけなくなったジーンズを譲ってもらい、3年生のときから作り始めてやっと完成しました。労働着が原点のジーンズと、ドレスなどに使われる繊細なオーガンジーという組み合わせで、素材の価値観を覆そうと試みました」という。清家弘幸教授は「再生素材を使いながらリサイクルに終わらせず、きちんとした作品に仕上がっている」と評価した。
縦4メートル、横1.15メートルという大サイズ6枚を使った平塚さんの作品タイトルは「遺伝子の容(い)れ物」。ラズベリー、ザクロ、ホオズキといった植物が生き生きとデザインされている。それぞれの実の部分にはポケットを縫い付けた。「遺伝子の容れ物」だ。「結んだ実は次世代に遺伝子をつなぐために、常に変化し続けています。ふだんは気に留めない植物の活動に思いをはせ、想像力をかきたてる作品を目指しました」と平塚さん。卒業後は、カーテンのデザイナーとして活躍する予定だ。
鵜飼さんは、さまざまな表情の服を生み出す布作りをテーマとし、既に自分のブランドを立ち上げて活躍している。「裁断する場所によって違った印象の服が生まれるように、テキスタイルをデザインしています」と話す。会場には立体裁断で作り上げた服も並べ、会場にアクセントを加えている。
同じく院生の長嶋美紀さんは、鳥の羽根が持つ豊かな色彩と模様に魅了され、それを布に落とし込もうと取り組んできた。虹色に輝く羽根を持つミノバト、上半身は緑と黄、下半身はブドウ色のコフウチョウ、全身が赤みを帯びたオレンジ色で、胸に灰色がかった斑点を持つベニジュケイ……。エッチングなどの技法を用い、鳥の美と躍動を布に閉じ込めた。大橋正芳非常勤講師は「布で羽根を表現しようと格闘してきたが、自分のものとして落とし込めるようになり、完成度が高まった」と論評している。
展示は3月18日まで。午前11時~午後8時、無料。問い合わせはメール(tzu.textile@gmail.com)で。【上杉恵子】