元文部科学省事務次官で学校法人城西大学の小野元之理事が新著「わが国の教育改革 その光と影」(NPO法人学校経理研究会・2860円)を刊行した。小野理事は教育行政の専門家として教育委員会制度や教育課程の改定等に詳通。ゆとり教育の見直しを提言し、国立大学の法人化や初等中等教育の改革推進でも知られている。本書は教育関係者のみならず、これから教育を目指す若い人たちにも示唆に富む内容となっている。
全250ページの本書は、明治維新からの日本の歴史と教育との関わりに触れた後、1984年から87年まで続いた臨時教育審議会から2021年の教育再生実行会議の終了までを概観している。特に委員として参画した06年からの教育再生会議については、「社会総がかりで公教育を再生し、ゆとり教育の見直し、いじめ、校内暴力、学力低下、学級崩壊に学校・教育委員会がきちんと対応していく、国際競争力のある大学・大学院を目指すための教育改革を提言した」と振り返った。
その上で、日本が目指すべき国の姿として、①知の資産を創出し続け、教育により大変革時代に対応できる基礎的な力を育む国②国際競争力があり、将来にわたって持続的に発展を続けることができる国③安全・安心、豊かで格差のない質の高い健康長寿社会を実現できる国④地球規模の問題の解決に正面から取り組み、世界の発展に貢献する国――を提言する。小野理事は「教育は国家百年の大計」として、「これらを実現するためにも初等中等教育を改革するとともに、高等教育への抜本的な投資を行っていくことが必要」と指摘。また、「わが国の将来にとって教育への投資は極めて重要であり、たとえその他の経費を削ってでも大学・大学院の教育研究費への投資は増加させるべきだと強く主張したい」と強調している。